戦争の愚を省み平和への誓いを新たにする季節である8月に、ナショナリズムをかき立てるような出来事が相次いだ。
 韓国の李明博大統領は8月10日、日本との間で領有権論争がある竹島(韓国名・独島)に上陸。14日には天皇の韓国訪問に関して「訪問したいなら、独立運動で亡くなった人たちに心から謝罪をする必要がある」と発言した。
 一方8月15日、野田首相が在任中は靖国神社に参拝しないと自粛を表明している中で2人の閣僚が靖国参拝を強行した。その一人、羽田孜・国土交通大臣はクリスチャンである。李明博大統領も大教会の長老を務めた人物だ。
 すべての壁を越える「神の国」の価値観を知っているはずのクリスチャン政治家たちが、ナショナリズムを助長するような政治的パフォーマンスに興じていることは憂慮すべきことである。(根田祥一)
*9月2日号オピニオンより一部抜粋