チャンピオンズ教育協会が展開する「チャンピオンズプログラム」は、小学校高学年から中学生の子どもたちが、さまざまな問題を乗り越えられるよう助ける、台湾の超教派の働き。教師養成セミナーと指導書、生徒用のワークブックが組み合わされる。
台湾から日本へチャンピオンズを導入した、齋藤千恵子さん(同盟基督・新船橋キリスト教会牧師)に話を聞いた。


日本語訳の第一弾『愛を守る人』と、第二弾『問題解決』

齋藤さんは、夫の五十三(いそみ)さんと共に台湾で宣教・教会開拓を行う中、「得勝者教育協會」に出会う。アメリカ人実業家夫妻が始めた、台湾の青少年を酒・たばこ・薬物から救い、予防し、健全な人格形成を目指すプロジェクトだった。テキストとセミナーの形式は1993年開始。6千人のボランティアにより、台湾全土、550超の学校で行われている。2012年から齋藤さんも携わり、教師資格を取得。全8回の連続講座を7件並行して受け持ったこともある。
18年に帰日し『愛を守る人』を、22年に『問題解決』を日本語訳。日本ではこれまで60回ほどのセミナーで、千人以上のクリスチャンが受講。公立校で講演したことも。生徒用ワークブックは2千部を突破し、教会学校、教会のキャンプ、幼稚園の保護者会、公民館での集会などで活用されている。
現在日本では齋藤さんと松井由紀恵さん(同盟基督・ニュー・コミュニティ・チャーチ信徒)が認証教師資格を持ち教師養成セミナーで指導。翻訳や事務の協力者もいる。
チャンピオンズは中国、香港、シンガポールなど東南アジア諸国でも展開。学業のプレッシャーや家父長制など、青少年が置かれる環境が似ていて、欧米よりアジア発の教材のほうがフィットするのだという。

『愛を守る人』は包括的性教育。命の価値、受容、尊重、親密な関係を築くプロセス、自衛などのトピックを、穴埋め問題やロールプレイで学ぶ。親子で話すきっかけにもなっている。『問題解決』では、依存症や自傷は問題解決能力の会得機会不足に一因があるとし、ゲームやクイズなどでコミュニケーションを取りながら能力を育て、自信をもって未来を切り開くことを期待する。
他に『感情のコントロール』『ゆるしのレッスン』『マネーマネジメント』の日本語訳を準備中。受講者からも渇望されているという。
テキストでは各章で聖書を引用。直接伝道ができない場でも、聖書に根拠があることを伝える。教会で使えば、神・罪・救いを網羅して教えられる。公的支援などの資料も充実。

齋藤さんは語る。「講壇から語っていることでも、子どもは適用をできずにいて、失敗すると後ろめたくなり教会から離れ……ということが起こる。予防的に学んでおくことが重要。子どものための人格教育プログラムは少なく、このようにワークブックで適用するものは他にない。教会こそ取り組まないといけない」

7月2日には、「問題解決」と「愛を守る人」のダイジェストセミナーを都内で行う。千円。詳細はhttps://champions-program-japan.com/から。
【間島献一】

2024年05月26日号 05面掲載記事)