一般財団法人日本G&M文化財団(以下G&M)と、東京都町田市の単立教会、ジーザス・ファミリー・チャーチとのコラボレーションによって生まれた、『ぶっとびバイブル~みんなで聖書~』シリーズ。最初の発行から1年未満ながら、現在、500を超える教会で用いられているという。その中身に迫る。【間島献一】


第一弾はヨハネの福音書、第二弾はルツ記。

聖書通読の高いハードル、大ジャンプ

『ぶっとびバイブル』シリーズは、子どもが聖書通読の習慣を身につけられるよう意図されたテキストだ。これまで、2023年7月にヨハネの福音書、12月にルツ記、24年3月にヨナ書のテキストが発行された。ヨハネなら7週間、ルツなら8日、ヨナなら4日で通読できるよう、日課が組まれている。
一日の日課は見開き2頁。まずその日の聖書箇所を、G&Mが制作している『聴くドラマ聖書』で聴くことになっているのが特徴。もちろん紙の聖書を開いて読んでもよい。続いて、箇所に基づくイラストやクイズが用意され、箇所から受け取った適用を書く欄、祈りのガイドが続く。
そのほか、書物の著者や内容についての概説のページ、子ども賛美の楽譜、使い方のガイドのページも用意されている。日曜日は教会学校で、週日は家庭で取り組むことが推奨されている。教会のキャンプで集中的に読むこともできる。

この冊子は、ウェブサイトから申し込むと、無料で届けられ使うことができる。ほかにダウンロード版も用意されている。
このシリーズを発行・監修しているG&Mの代表理事、文俸柱(ムン・ボンジュ)氏に、詳しい話を聞いた。

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「子どもたちが、自分で聖書を毎日読む習慣を身につけることは、とても難しい。まず『聴くドラマ聖書』で聖書箇所の朗読を聞きながら読む。イラストをつけてわかりやすくしている。家庭や教会で、誰かと一緒に取り組めば、中断せずに続けられる。そのように活用していただきたい」

ムン氏にこのようなアイデアが生まれたのは、2023年に台湾を訪問した時。韓国の宣教師が、イラスト、クイズ、適用をセットにした教材を自分で作っていた。子どもたちはとても興味深くそれに応え、台湾の多くの教会に広まっていたという。

「子ども用の聖書通読テキストで、自分に適用するところまで扱ったものは、アメリカや韓国のものを調べても見つからなかった。子どもが聖書を読んで、それを自分の人生に適用するようにした、これが一番大事な特徴。子どもたちが毎日、肉の糧を食べるようにみことばを少しずつ食べる、そういう習慣を身につけさせる」

ムン氏は日本に戻り、ジーザス・ファミリー・チャーチ牧師の西村希望氏に相談したところ、早速一緒に作ってやってみることに。ジーザス・ファミリーは以前から「ぶっとびキ ャンプ」を行っていたが、23年8月のキ ャンプでプロトタイプ版を使ってみたところ、子どもたちから良い反応が、同時開催の教師向けセミナーでも好評を博し、本発行に至った。

昨年の第7回日本伝道会議で、西村氏が次世代伝道に重荷を持つ牧師らにアピールすると、約20人の執筆者チームが出来上がった。最初のヨハネの発行時よりも短い製作期間で、ルツ記とヨナ書を発行。今後は年5冊程度のペースで、旧・新約のバランスを取りながら、エステル記、エペソ人への手紙、創世記と続く予定だ。

「財団として、子ども向けのものの製作は考えたこともなかった。しかし私が台湾を訪問したことがきっかけでいきなり、教会の少子化対策として始まった。本当に神様が与えてくださった知恵で作ったものです」とムン氏は語った。

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いのちのことば社公式YouTubeチャンネル「ぶんでんチャンネル」でも、ぶっとびバイブルとぶっとびキャンプについて紹介。視聴覚を駆使し、子どもの想像力が刺激され、盛り上がっている様子がうかがえる。


「ぶっとびキャンプ」で使用している様子。紹介動画から

2024年05月26日号 04面掲載記事)