左上からビショップ、ホーブ、鄭、堀江の各氏

『大学教授による神の壮大な物語』リック・ホーブ、ヘザー・ホールマン共著、糟谷恵司訳、日本キャンパス・クルセード・フォー・クライスト発行、いのちのことば社発売

 

クリスチャンの大学教授による、宣教的なコミュニティー「ファカルティ・コモンズ」が、日本キャンパス・クルセード・フォー・クライスト(CCC)によって本格化している。文化全体に大きな影響力をもつ大学において、クリスチャンの教員としてのアイデンティティーや使命を確認し、励ます働きだ。米国では1980年に始まり、200以上の大学で2千人の教授がかかわるという。日本では、コロナ禍の2020年にオンラインで活動が始まった。この夏、『大学教授による神の壮大な物語』=写真上=を翻訳出版。7月23日には、著者らが来日し、日本の研究者らとカンファレンスを開催した。

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同書は三部に分かれる。第1部では、著者らの体験も交えながら、創造から神の国の完成までの聖書の全体像の中で、大学教授の使命を確認する。「科学と信仰」の問題にも論及し、 研究や授業における対話的姿勢を勧める。第2部では6人の教授が証し。信仰と生活の統合、学生や同僚たちとの関係づくりや伝道の試みが語られる。第3部では、実践へのアドバイスや資料が提示される。

日本語版序文として、京都大学大学院医学研究科特任教授の高橋裕子さんが寄稿。第3部では、小張敬之さん(グローバルBiz専門職大学教授)が、宣教師らを交えた異文化コミュニケーションの授業や、信仰と学問の対話の取り組みを紹介している。

カンファレンスでは、著者の一人でファカルティ・コモンズ・エグゼクティブ・ディレクターのリック・ホーブ氏、同宣教スタッフで元アラバマ大学教授(運動生理学)のフィル・ビショップ氏が来日した。

ホーブ氏は「イエス・キリストがアイデンティティーの中心になるべき。教員は、教える内容だけでなく、生き方が伝わる」と述べた。ビショップ氏は「米国の大学でも信仰を表明することは理性的でないと思われる。恐れずに、学生、大学を愛してほしい」と勧めた。

堀江徹氏(早稲田大学トランスナショナルHRM研究所所長。同大学ビジネススクール教授)は、CCCを通して信仰をもつまでのキリスト教とのかかわり、商社勤務から、コンサルタント、ビジネススクール教員にいたる歩みを振り返った。ビジネススクールでは、近年注目される「パーパス」(社会における存在意義)などの概念の説明の中で、「地の塩、世の光」などの聖書の言葉を伝えている、といった試みを紹介した。

鄭有希(チョン・ユヒ)氏(早稲田大学社会科学部総合学術院教授、同先端社会先端科学研究所副所長)は、韓国時代、CCCの活動と学問に打ち込んだ。使命をもって日本で研究職につき、CCCの活動にも協力してきた。孤独な研究者のための働きの必要性を覚え、20年からクリスチャン研究者らとオンラインの祈祷会を始めた。ファカルティ・コモンズとつながり、定期的な祈祷会と、バイブルスタディーを実施している。【高橋良知】

(2024年08月18・25日号 01面掲載記事)