第26回教会音楽デー」(お茶の水聖書学院教会音楽科主催)が7月6日、お茶の水クリスチャン・センター(東京・千代田区)で開かれた。午前の部では中山信児氏(福音讃美歌協会理事)による講義「讃美の多様性と広がり」、午後の部では武義和氏(作曲家)による演習「讃美歌を作りましょう!」が行われた。中山氏の講義を紹介する。


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讃美(さんび)に限らず、「多様性」は、それが混乱を生む一方、多様性を認識することで、独善を回避できる。「讃美」とは、狭義には神をほめたたえる歌、広義にはそれ以外の祈り、告白、感謝、などを含み、信仰の交わりの中で、信仰者が信仰をもって歌う歌、と言える。
聖書には、出エジプト記でミリアムが歌った原初的な讃美から、歴代誌の神殿奉献礼拝における制度化された讃美まで見られるが、前者の持つダイナミズムは新約でも見られ、やがて黙示録4章の天上の礼拝において回復される。
中世カトリック教会のラテン語讃美は信徒を受動的立場においたが、16世紀のルターの宗教改革により、聖書翻訳とともに讃美歌もドイツ語で創作され、歌われた。その歌詞は神学的で、教理を教える機能を持った。カルヴァンは神のことばそのものを会衆に正しく伝達するため、ジュネーブ詩篇歌を作成した。
英国では18世紀に入る頃から、アイザック・ウォッツがその詩篇歌の伝統を重んじつつ自由度を高めた讃美歌詩を作り始め、その後チャールズ・ウェスレーは、より自由に、主観的、個人的内容の讃美歌詩を創作した。19世紀以降、北米では大衆伝道者たちにより、信仰を鼓舞し決心を促す「ゴスペルソング(福音唱歌)」が広く歌われた。
20世紀の混迷した社会にあって教会が宣教のことばを問い直され、音楽も様々なジャンルが人々の心をとらえる中、讃美歌も社会的な内容を含む「ヒム・エクスプロージョン」、みことばに集中し沈潜する「テゼ共同体」の讃美歌、60年代後半のジーザスムーブメントから生まれた「プレイズ&ワーシップ」、聖書的内容を現代的な音楽に乗せて歌う「モダン・ヒム」が現れた。
それらすべてから私たちは、課題とともに、それへの取り組みや成果を受け継いでいる。これらから良いものを讃美の現場に取り入れる時、そのような取り組みもまた、次世代へ受け継がれていくことを覚えたい。

2024年07月28日号 04面掲載記事)