九州は、NPО法人九州キリスト災害支援センター(九キ災)本部長で能登ヘルプ(能登地震キリスト災害支援会)支援チームリーダも担う市來雅伸さんに、編集部からの質問に回答してもらった。
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九州の教会は南海トラフ大地震を想定しつつ様々な災害に対しどんな備えをしているか?

九キ災は九州の教会を代表しているわけでなく、九州の各教会がどんな取組をしているかは分からない。九キ災としては各ネットワークとのゆるやかなつながりを大切にしている。「備えるプロジェクト」では九州各県の教会に防災倉庫の設置を進めている。これまで八つの教会にパンの缶詰200缶、500㎖の水200本に加え、必要に応じ中身を吟味している。各教会のためでもあるが、地域の方々のための備えとしての意味合いが強い。他地域での災害時には各倉庫から持ち出して支援に用いられる。賞味期限が近くなったら防災フェスタなどで近隣の方々に配布するなどして活用している。

教会に設置された防災倉庫

九州の教会はどこまでネットワークを構築しているか?

既存の宣教ネットワークに九キ災が参加している。2023年2月には各県のネットワーク同士をつなぐ「防災サミット」を開催し、顔の見える関係の構築を目指している。

南海トラフ地震が起きた場合、四国が津波の直撃を受ける可能性があるが、九キ災ではどんな支援を想定しているか?

発生時には九州でも甚大な被害が想定されているため、現時点で四国での活動は想定外だ。被害状況に応じ四キ災と連携して九州・四国を包括的に支援できたらと考えている。

発災時の九州以外の教会ネットワーク、キリスト教支援団体との連携について。

キリスト全国災害ネット(全キ災)のプラットフォームを軸にこれまでの災害同様、各支援団体との連携を模索する。

南海トラフ大地震の備えに対して足りない部分や懸念点、改善点があれば。

広域での支援活動に対し、「人材」は明らかに不足している。人材育成が急務である。まずは災害時に支援活動に従事できる人を確保すること。即戦力でなくても経験を積ませる対象を探すことが大切だと感じる。

2024年09月01日号 06面掲載記事)