文脈を無視しない 新しい曲線を描くには 第四回ローザンヌ世界宣教会議への旅⑫
第四回ローザンヌ世界宣教会議(9月、韓国仁川、オンライン)に向けて、毎週配信中の「ローザンヌ運動ポッドキャスト」(URLlausanne.org/podcast-series/lausanne-movement)から主要な論点を紹介する。第37~40回(6~7月配信)は仕事、文化、組織、女性の視点から。
前回
かい第37回配信は投資会社クロスマーク・グローバル・インベストメント社長のボブ・ドールさん。「仕事、子育てなどと生活を細分化するのではなく、一つの統合された生活としてとらえたい。生活全体が奉仕」と述べた。ビジネスリーダーと牧師は、トップとしての孤独を抱えるという点で似たところがあるとして、「ペアを組めば強力になる」と励ます。「牧師は、自らの奉仕を、壁に囲まれた中だけに止めないでほしい。視点を変えれば、職場で格闘しているクリスチャンとして歩む人の助けになる」と勧めた。
第38回配信は世界福音同盟神学委員会の委員長でフィリピン出身のレイ・レムエル・クリザルドさん。「文化は単なる補助ではない。アイデンティティーにかかわり、人々が気づかずに身に着けているもの。時として抑圧されるもの」と話す。幼稚園から大学院、神学校まで英語で教育を受け、頭の中の概念が、全て英語で表記されてきたことに気づかされた、という経験も語った。「信仰、自分の霊性がすべて別の文化、言語によってラベル付けされていた。終わったと思っていた植民地時代の歴史が、まだ生きていた」と話した。
現在クリスチャンの7~8割が、アジア、アフリカ、南アメリカに住むという状況下で、「これらの地域のリーダーには、自分たちの文脈に基づいて人々を導く大きな責任がある。しかしゼロからのスタートではない。過去の歴史に学びたい」と勧めた。
第39回配信は、イマゴ・コンサルティングの創設者のデイブ・ラリーさん。マーケティングおよび資金調達について、宣教団体やNPOを支援してきた。組織のライフサイクル曲線を紹介。「急速な成長もやがては減速、頭打ち、衰退の段階を迎える。イノベーションは、新しい曲線や新しい機会を生み出す」と言う。「イノベーションは新しいことだけではなく、段階的な改善、実験も含む。サーフィンから学んだこととして、すべての波をキャッチしなくてもいい、ということがある」と述べた。衰退期にある組織に向け、「ネガティブなデータの海の中に迷い込んでしまいがちだが、明るい部分を拡大してみたらどうか。私がしているのは明るい点の特定を助けることだけ」と話し、実践ステップを紹介した。
第40回配信は、世界キリスト教研究センター共同所長のジーナ・ズルロさん。2018年に「世界のキリスト教における女性プロジェクト」を立ち上げた。「世界中のほとんどの教会は女性が多数派。一方、キリスト教指導者の集会に行くと女性がほとんどいない。何かしなければいけないと思い、まずデータを示すことが必要だと考えた」と話す。
グローバルサウス(南半球)でクリスチャンが増加している傾向についても、女性の貢献に注目。「これらの女性たちの多くは名前が明かされず、聞き取りをするしかない」と言う。
「女性に耳を傾け、交流することで、男性も女性も互いの理解を深め、コミュニティー全体が改善する。多くの場合、女性はただ黙って苦しんでいるだけ」と指摘。「男性とはまったく異なるリーダーシップをもつ女性がコミュニティーにどんな変化を与えるか注目している」と期待する。【高橋良知】