「キリスト教病院間の協力進む一助に」第4回日本キリスト教病院協会総会開催
第4回日本キリスト教病院協会(JCHA)総会が9月27日、新築移転した公益財団法人近江兄弟社ヴォーリズ記念病院(滋賀県近江八幡市)で開催された。
この集まりは1993年、淀川キリスト教病院(大阪市)で開催されたキリスト教病院の使命と経営の在り方を学ぶ会にさかのぼる。1993年5月13、14日に「ミッションと病院経営」と題しキリスト教主義病院トップセミナーとして開催。当時はプロテスタント、カトリックの病院から61人、当時淀川キリスト教病院と交流のあった韓国、台湾のキリスト教病院から9人を招いた。それを機に日本・韓国・台湾キリスト教病院最高経営者会議が発足、現在のアジアキリスト教病院協会(会長:宮城航一、オリブ山病院前院長・)脳神経外科医)に発展した。
一方、国内でのキリスト教病院間の交流が少なくなっており、「キリスト教病院間の協力進む一助に」との願いのもと、2021年9月に淀川キリスト教病院、オリブ山病院(那覇市)、衣笠病院(横須賀市)、ヴォーリズ記念病院、神戸アドベンチスト病院(神戸市)、賛育会病院(東京都墨田区)の会員病院に加え、オブザーバーに救世軍清瀬病院(東京・清瀬市)が参加し、JCHA第1回総会が淀川キリスト教病院で開催。毎年第2回(オリブ山病院)、第3回(衣笠病院)と継続され、第4回に至った。
今回は愛知国際病院(愛知県日進市)が入会し、約60ある日本のキリスト教主義を標榜する病院から7つが会員病院として病院協会が形成されている。
総会では、淀川キリスト教病院の國安光チャプレンが「スタッフのケア」、東京衛生アドベンチスト病院の平野美理香副院長兼看護部長(名前)が「理念継承と人材育成」をテーマに発題。その後ディスカッション、各参加病院からの近況報告があった。加えて、近畿地区チャプレン連絡協議会からオブザーバー参加希望があり、当日朝から開催されていたチャプレン連絡会が、病院見学、JCHA総会に合流し、総勢34人が参加した。
その際、田頭真一氏(社会医療法人葦の会オリブ山病院理事長)の新刊『イエス様のスピリチュアルケア:イエス様の教えと模範』(パブファンセルフ、2024)が各チャプレン及び参加者に贈呈。特に昨今のスピリチュアルケアに関する論述において、イエス・キリスト自身の働きによるものという視点が少ない中、希少な内容となっており、教会などのテキストとして採用希望もある。「あまりにスピリチュアルすぎる霊解から、逆に理知的文献学的聖書解釈の極端な本の中で、福音派の立場で聖書学的、霊的に、何より先生の全人医療の現場から、また教会の伝道牧会の現場からの視点はまさに全人的聖書の学びにピッタリ。短い文章でポイントを突き、例話も興味深く、教会の現場で安心して用いさせていただけます」(亀井俊博師、芦屋福音教会名誉牧師)
報告では、今年11月7~9日に沖縄で開催される第27回アジアキリスト教病院協会総会(総会会長・田頭)が準備経過報告と案内をした。昨今の世界情勢を鑑み、「世界的危機におけるキリスト教病院の役割:経済危機、自然災害、そして世俗主義」とし、「ですから、私の愛する兄弟たち。堅く立って、動かされることなく、いつも主のわざに励みなさい。あなたがたは、自分たちの労苦が主にあって無駄でないことを知っているのですから」(Ⅰコリント15・58)を主題聖句に掲げる。基調講演は笹子三津留氏(淀川キリスト教病院理事長)。今回から、キリスト教病院関係者だけでなく、一般病院や診療所で働くキリスト者医療者にも対象が広げられ、日本、韓国、台湾、タイ、米国から100人超の参加申込者があり盛会となることが期待されている。(レポート・田頭真一)