碓井 真史 新潟青陵大学大学院教授/心理学者

愛と誠実さで問題に向き合う

フジテレビに激震が走っています。中居正広氏と女性とのトラブルに関する週刊誌報道から始まり、社長による不十分な記者会見を経て、問題は沈静化するどころか大きくなる一方です。コマーシャルは次々公共広告機構(AC)に変わり、大株主は激怒し、番組作りも営業活動全般も滞っていると伝えられています。他のテレビ局でも同様のことはなかったのかとの、テレビ業界全体への不信の声も上がっています。中居氏は引退を表明しました。
芸能界、週刊誌、テレビ局。こんなことは私たちとは無関係のことでしょうか。いいえ、決して対岸の火事ではないと思います。残念ながら、どんなところにでも不祥事は発生します。教会も例外ではありません。過去には週刊誌に取り上げられたこともありました。今は、マスコミではなくても個人によるネットのSNS投稿が、あっという間に数十万数百万人に広がることもあります。そうなれば、マスコミも報道します。内部告発も考えられるでしょう。
週刊誌もインターネットも、真偽定まらぬ内容を含め無数の情報が飛びかいます。そこから何がさらに大きな問題となって広く報道されるかは、複雑微妙でわかりません。ただ、私たちの身近で起きた問題が、社会的に大問題化する可能性は、十分に考えられるでしょう。
公共の電波を発信するテレビ局が、誰かを深く傷つけていたのに、隠蔽し平然としていることなど許されません。キリストのからだである教会は、なおさらでしょう。信頼されるべき組織だからこそ、世間の目は厳しくなります。けれども、どんなに実力と実績のある人でも、どんなに人気と人望のある人でも、問題を起こす可能性はあります。だからこそ、組織としての誠実さが求められます。
多くの人は、発覚した不祥事を前に慌てふためきます。ネット炎上への対処も、マスコミ対応にも慣れていません。私たちが、個人として保身を図ることも、関係者が組織防衛に努めることも、自然なことだと思います。冷静さも賢さも器用さも必要です。拙速な行動は慎みましょう。しかし、思いが余って愛と誠実さをないがしろにしたときに、問題は爆発します、、、、、

2025年02月09・16日号 03面掲載記事)