2015年11月15日号 3面

○福音自由・アジア青年大会から
アジア青年

戦後70年。日本の宣教を担ったリーダーたちの交代の時期を迎え、多くの教会は次世代育成の課題に直面している。次世代への信仰継承、新たな宣教への展望はアジア、世界でも共通の課題だ。グローバル化の進行とともに、これら共通の課題について日本と海外の教会が協力し、ともに考える機会が増えていくだろう。

日本福音自由教会協議会は、アジアの4つの国・地域(香港、マレーシア、シンガポール、フィリピン)との、「アジア青年大会」(Asia Young Leaders Conference =AYLC、同実行委員会主催)を9月20〜23日に、山梨県で開催した。海外から137人、国内から254人が集い、賛美し、各国の事情、宣教や信仰生活についての課題を共有し、学び、交流する機会となった。

本連載では、AYLCの取り組みから、世界宣教、次世代育成、神の民としての平和つくりの使命について考える。

【高橋良知】

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日本福音自由教会協議会は、1949年に埼玉県で教会開拓を始めて66年。加盟する教会の自律自治と、教会間の交わりを重視し、関東、関西を始め、北海道から沖縄まで約80の教会を形成してきた。

東日本大震災後は、全国規模での救援活動に加え、米国、アジアの福音自由教会からの支援を受けた。海外からの支援が1つの後押しとなり、石巻市では、超教派による「石巻クリスチャン・センター」が設立された。また国内の有志教会によるミニストリーとして、石巻福音自由教会の開拓が始まった。

AYLCは今回で3回目。約4年ごとに開催されてきた。今大会実行委員長である三木健さん(クライスト・コミュニティ北九州チャペル牧師)は、2012年に開かれたマレーシア大会に約10人の日本人とともに参加した。15年の日本開催が決まると、「もっと多くの人に参加してほしい」と積極的に奉仕を申し出たという。

AYLCの目的は、①次世代の教会を担うリーダーとなる若者が集まり、キリスト者としての生き方を再確認すること、②一人ひとりが次世代の教会を建て上げる者としての自覚を持つこと、③アジアのクリスチャン同士で、国を超えた交わりを深めること、だ。

従来AYLCは青年リーダーに特化した100人規模の集会だった。今回は「より幅広い青年の参加を」と、国内向けには、「リーダー」の名は入れず、「アジア青年大会」という名称で呼びかけた。既婚者も含め年齢幅も広げた。海外枠も倍以上に増やした。青年委員で、実行委員会副委員長の齋藤尚子さん(浦和福音自由教会)は、「日本側は、英語の壁などもあり、大会に関心が集まるまで時間が掛かったが、地道な呼びかけもあり『次日本で開催されるのは20年後。参加しないともったいない』と徐々に参加したいという人が増えてきた」と話す。献金ほか、大会前後の海外参加者のホームステイ受け入れなど、各教会からの協力もあった。

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ピクチャ 1

今回のテーマは「まきちらせ、愛を‼ 主の民と…Spread the Love -A Kingdom Generation」。趣旨としては、「グローバル化の加速化する世界の中で、『人、もの、情報』が国籍や文化を超えて行き交うとと同時に、宗教、経済、政治、文化のが生じる。それにより様々なレベルでの格差、不信、敵意が生まれている。このようにして『愛』が冷えていく時代にあって、クリスチャンの存在意義と使命を考える」というものだ。

大会パンフレットの挨拶文には、同大会への思いが語られている。日本福音自由教会協議会会長の服部真光さん(名古屋西福音自由教会)は、東日本大震災時のアジアの支援と祈りへ感謝を表し、「主からの新しいチャレンジをいただき、新しい交わりが生まれたこと」、「東アジアの宣教、さらには世界宣教に向かって良い協力の土台が築かれること」と期待した。

三木さんは、戦後70年に触れ、「日本人として、かつて日本の国が戦時中に犯した罪と、その悔い改めの思いを決して忘れてはならないと信じます。同時に、私たちが神の家族として、国を越え、民族を超えて、和解し、愛し、仕え合うことを主は望んでおられる、と私は確信しています」と述べ、神の国の民として、キリストにある真の愛と平和を宣べ伝える契機となることを願った。

斎藤さんは、「伝道と宣教のための大会」と位置づけて、「私たち自身が個々に遣わされている場所で、主の民として輝くために、キリストの愛をまきちらすものとして変えられること、養われること、そして心が燃やされること」を勧めた。次回から大会の内容を紹介していく。