光はやみの中に輝いている。やみはこれに打ち勝たなかった。

 ヨハネの福音書1章5節

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メッセージ 高木康俊(日本バプテスト連盟 蓮根バプテスト教会 牧師)

 どんな病い、悩みにも打ち勝つ

どんな時代でも、希望の光である主イエス・キリストをお迎えするクリスマスは、わたしたちの心をおだやかにします。クリスマスの光は、人々の心を神の愛に導くのです。天地万物を創造された本当の神様は、どんなときにもわたしたちの心に希望の光を届けてくださいます。

 夜、静かな病室で 

クリスマス礼拝の日、礼拝が終わって夕刻、日が落ちてから東京湾が見える病院に一人のクリスチャンの女性を訪問しました。

彼女の病は重く、いつまで地上に生きることができるかわからない状況でした。わたしは彼女の病室に入ると、そっとクリスマス礼拝のプログラムを彼女の枕元に置きました。「先生、クリスマスの忙しい時に来てくださってありがとうございます」と彼女は丁寧にわたしにお礼を言われました。わたしが、「今夜はクリスマス礼拝のプログラムを持ってきました。一緒にクリスマスキャロルを歌いましょう」と言って、「きよしこの夜」を歌い始めると、いつの間にか、彼女も一緒に口ずさんでいました。

病室の窓から東京湾が一望できました。「きよしこの夜」の賛美の歌が病室に流れ、東京湾に浮かぶ船の灯が、暗闇の中に輝いていました。静かな平安に満たされた夜でした。「先生、わたし死ぬのはこわくないんです」と彼女は突然、語り始めました。

「ただ、死ぬとき苦しいのはちょっと嫌なんだけど…。先生、わたしが苦しまずに天に召されるようにお祈りしてください。それから、もう一つ、わたしの夫と息子のことが気がかりです。わたしが天国に行っても、主人と息子が仲良く幸せに暮らせるようにお祈りしてくださいます?」

わたしは、即座に、「もちろん祈りますよ。ご主人と息子さんのことは心配しないでください。わたしずっとそばにいて支えますからね。お祈りしますから、もっともっと、地上で長く生きてください! おねがいしますよ」と笑いながら応えました。

わたしも彼女もやがて来る天に召される日を予感しつつ、暗闇の中で歌い続けました。本当に静かな、暗闇の中に光が輝く夜でした。

今、毎月、彼女の夫と息子が待つ彼女の家に訪問して礼拝の時を持っています。今年もクリスマスの時期、そのご家庭を訪問して彼女の夫と息子と共に賛美します。その家庭で賛美し祈るたびに、あの時の病室での、暗闇の中にクリスマスの光が輝く静かな夜が心の内によみがえってきます。本当に平安でした。

完全な救いと神の愛

主イエス様はすべての人のために十字架にかかり、すべての人のための贖いとなられました。そして、すべての人を完全に救う道となられたのです。クリスマスの光は、天の国からわたしたち一人一人を完全に救うために照らされる神の愛の光です。そのイエス・キリストの光に闇は打ち勝つことはできません。

わたしたち一人一人がこの地上に生まれ育つ中で、いつの間にか、神とわたしたちとの間には深い淵が生じ、そこにある暗闇がわたしたちを支配しています。そこに主イエス・キリストは来られたのです。わたしの周りには多くの病める人、悩める人、苦しむ人、痛みと悲しみの中にある人々がおられます。そのすべての人々に主イエスのクリスマスの光が届くとき、暗闇はその光に打ち勝つことはできません。どんな暗闇の中でも、クリスマスの光は輝き、一人一人を完全に救い、神の国の命に満たされた至福の平安に満たすのです。あなたもクリスマスの日、どんな暗闇の中であっても、主イエスを救い主として心に迎え入れてください。その時、あなたの心にクリスマスの光は輝きます。

12月20/27日合併号に掲載

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