安倍首相の靖国神社参拝に対する抗議声明

内閣総理大臣 安倍晋三殿

2013年12月30日
包括宗教法人 日本キリスト改革派教会
代表役員・大会議長 吉 田 隆

私たち日本キリスト改革派教会は、12月26日に安倍首相がおこなった靖国神
社への参拝に対し、強く抗議いたします。理由は以下の通りです。

1.内閣総理大臣の靖国神社参拝は、正当化の論理如何にかかわらず、かつて
日本が侵略行為を行ったアジア諸国の人々の心を踏みにじり、結果として戦後
日本が築き上げてきた和解の努力とその成果を自ら破壊する行為です。
靖国神社は、「大日本帝国」時代の戦死者を祀る宗教施設であり、侵略戦争の指 導者達をも「神」として祀る特別な神社です。中韓との関係が悪化し、東アジア地域の緊張関係が高まりつつある昨今、憲法改正を政治目標とする安倍首相が、あえてこの時期に靖国神社に参拝するという行為は、結果として過去の侵略戦争を肯定し、その歴史を美化しようとする国粋主義的行為であるとみなされます。この評価は、必然的に従軍慰安婦問題や靖国神社のA級戦犯合祀問題などと結びつきながら、中国や韓国など被害国である東アジア諸国をこえて、アメリカやイギリスといった「連合国」の国々に対してさえ、日本への警戒心を醸成することになります。
実際、今回の安倍首相靖国参拝に対する批判が、中国や韓国とともに英国や米国、 そしてロシアやEU、ASEAN、ユダヤ系団体等から湧きあがり、国際的にも大きくひろがりつつあります。
安倍首相は、参拝後の談話(26日)において、「中国や韓国の人々の気持ちを 傷つけるつもりは、全くありません」と語りました。しかし、かつて日本の侵略によって大きな被害を受けたアジア諸国の人々が、靖国参拝に強く反対している中での参拝強行は、彼らの心を踏みにじり、和解を破壊する行為であることは明らかです。「傷つけるつもりはない」との安倍首相の談話は、到底、国際社会に理解されるものではありません。
日本は、アジア・太平洋戦争に敗北した後、その戦争への反省から日本国憲法を定め、第9条によって戦争を放棄し、近隣諸国と和解をめざす平和国家としての道を歩んできました。安倍首相による靖国神社の参拝は、このような日本国憲法体制下に蓄積されてきた戦後の「和解の遺産」を損壊し、結果として著しい国益の喪失 をもたらす愚かな行為であるといわなくてはなりません。

2.首相が、かつて国家神道の宗教施設であり、戦死者を英霊として祀る靖国
神社に参拝することは、政教分離という憲法原則を大きく踏みにじり、国民の
信教の自由を脅かしかねない行為です。
靖国神社は、明治維新以降、戦死者を祀るために設置運営されてきた国家神道の宗教施設です。この靖国神社は、現在でも、先のアジア・太平洋戦争を「聖戦」と主張し、戦死者を英霊として顕彰し続けている特異な宗教施設で