7月3日号紙面:この国の宣教協力を考える 第6回日本伝道会議 プロジェクトから①
7月10日に実施される参議院総選挙を前に、6月までに与野党は公約(政策)を発表した。経済成長と格差、国防と憲法改正、女性と若者・子ども支援、介護、雇用、地方、被災地復興・防災、雇用、社会保障、人権…などの多分野にわたる日本の課題について各党は展望を示した。これらの問題は、日本における教会に与えられたミッションにも関わる。 広範な分野での宣教協力について、今年9月27〜30日に神戸で開かれる第6回日本伝道会議(JCE6)は15のプロジェクトで取り組みを進めている。JCE6の取り組みから、キリスト者としてこの国を考えたい。【高橋良知】
JCE6の各プロジェクトは、福音、総合分野
(日本宣教170▼200、宣教協力とそのインフラ造り、教会の誠実さへの変革)、世界(多元化社会、国家、環境、災害、家族と高齢化、グローバリゼイション、ビジネス、開拓伝道、地方伝道・共生、青年、子ども)だ。JCE6と協力関係にある日本福音同盟(JEA)の第31回総会(6月6〜8日、静岡県で開催)内で、JCE6の各プロジェクトの経過と展望が紹介された(6月26日号参照)。数プロジェクトずつに分けて連載で紹介する。
教会と「国家」
プロジェクト「教会と『国家』−戦後70年に際して、キリストの平和をつくり出す者となるために」は、日本福音同盟社会委員会委員長の柴田智悦氏(同盟基督・横浜上野町教会牧師)が紹介。戦後70年を迎えた昨年のJEA総会で、「戦後70年にあたってのJEA声明」が採択され、日本の福音派が自由主義神学とナショナリズムの2つに対抗して形成されてきたことを確認した。JCE6開催地の神戸ではJCE6の取り組みの中で、JEAの各委員会に相当するアナロギア各委員会を形成している。柴田氏は「神戸のアナロギア社会委員会をモデルに各地域ごとに社会委員会が形成され、教会が社会的な責任を考え、社会的・政治的行動をすることが当たり前になる雰囲気をつくりたい」と語った。JCE6分科会の中では、義戦論と非戦論のディベートを催す。
家族と高齢化
プロジェクト「ファミリーミニストリー」は丸山園子氏(同盟基督・習志野台キリスト教会牧師)が紹介。日本の家族の在り方が変わっている状況を説明。「殺人事件の半数以上が親族間だという。家族が安全な場所ではなくなった。形態も多様化しており、単身世帯が3割。ステップファミリー同士の結婚や国際結婚による課題も増えた。福音に回復がある。崩壊した家庭に対して、『神の家族』という教会の実態、キリストに倣う生き方が問われる。同プロジェクトでは、①クリスチャン・ホーム建設、②夫婦、③親子、④高齢者の4領域について取り組みます」
ビジネスと協力宣教
プロジェクト「ビジネス宣教協力の次世代構想」は柳沢美登里氏(「声なき者の友」の輪スタッフ)が紹介。「ビジネスは金儲けだけではない。最新の技術に対してどう対応して、よりよい社会を築いていくかということ。教会にはビジネスの最前線にいる人もたくさんいる。どのようにそれらの人々を用いて神の国を広げることができるか。激動の世界の中で次世代の教会を建て上げられるか考えたい」。社会の変革を考えるとき、NGO、NPOなど非営利の組織だけではなく、企業も利益追求をしながら社会変革をに参加し、非営利組織とネットワークを展開。多文化共生の中で、様々な同僚とチームをくむ。共通の価値をもったタスクを通して、隣人に証しする突破口になる。JCE6当日は、再生可能エネルギー、芸術による多文化共生の取り組み、アンビエント(環境感応型)情報社会における宣教広報などの事例を紹介する。(続きは次号)