(C)2009 アスミック・エースエンタテインメント/フジテレビジョン/ジェイ・ストーム

原作では重病の男性二人が主人公だったのを、余命3日ぐらいと言われた28歳の男と、7歳から重い病で入院しあと1か月ぐらいの命と知っている14歳の少女に設定を変えた。あこがれは芽生えても、恋愛関係にまでは発展しにくい設定がより一層、人生に何が必要か、人間同士の絆とは、を考えさせてくれる。

この二人が病院で出会った日、男の「いま天国では海の話をするのが流行っている」という一言に、少女は「一度も海を見たことがない」と言う。そこから故郷の「海に行きたい」と思った男と、「海を見たい」と思った少女は、病院に停めてあった高級車を盗み逃走する。その車の中にあった拳銃と大金。2人は警察と企業暴力団の双方から追われることになる。

何度か死にそうになっても懸命に海に連れて行こうとする男に、少女は「なんでそんなにまでして」と聞く。「人生の最後くらい、最高のエンディングがほしい」と答える男。海にたどり着いた二人に台詞はない。ただアンジェラ・アキが映画にあわせて詞を作り変えた「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」が流れる。信じることのできるものが失われゆくいま、多くの人が天国の扉の向こうにあってほしいもの。詩にも込められたものがこの映画の伝えたいメッセージなのだろう。【遠山清一】

2月7日(土)よりシネマライズ、シネカノン有楽町、新宿ジョイシネマ、新宿バルト9、池袋HUMAXシネマほか全国ロードショー。ホームページ=http://h-door.jp/

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