監督・川本昭人はアマチュアながら「家族」をテーマにドキュメンタリー映画を撮り続けてきた。今作は原爆症に苦しむ妻の姿をおさめた50年間の記録だ。長男の誕生がきっかけで撮り始めたが、まもなく妻に甲状腺癌が見つかる。「この苦しみは他人事じゃない。自分の苦しみだ」という思いに突き動かされ、50年間カメラを回し続けた。

© 「妻の貌」上映委員会
© 「妻の貌」上映委員会
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繰り広げられる日常は、義母の介護や子の成長、孫の誕生というありふれた光景だ。しかし忍び寄るのはどうしようもない倦怠感と病に苦しむ原爆症の闇だ。苦しみのさなかにカメラを向ける苦しさもあったという。それでも核廃絶を願い、発信せずにはいられない監督の気骨が宿る作品だ。【奥山】
監督:川本昭人 2008年/日本/104分/ 配給=「妻の貌」上映委員会 2008年7月25日より渋谷・ユーロスペース、川崎市アートセンターにてロードショーほか全国順次公開。
問い合わせ=東風Tel.03・5389・6605
公式サイトhttp://www.tumanokao.com/