2017年08月27日号 4面

宗教改革500年を記念するプロジェクト、日本福音ルーテル教会・近畿福音ルーテル教会・西日本福音ルーテル教会の3つのルーテル教会による「宗教改革500年記念ルーテル教会合同聖餐礼拝」が、7月17日に日本福音ルーテル大阪教会で開かれ、信徒ら約240人が一堂に会した。3つのルーテル教会が共に礼拝するのは初めて。礼拝の前の「ルターセミナーin Osaka」では、ルーテル学院大学教授でルター研究所副所長の江口再起氏による講演「ルターが今日の日本に生きていたら~神のすばらしき創造の世界との共生~」が行われた。
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江口氏は「原点に立ち、未来に目を向ける、この二つの視点が大事です。本講演では3つのテーマを掲げたい。それは、ルターとは誰か、現代世界とは、そして日本と日本の私たちの教会について考えていきたいと思います」と、語りかけた。IMG_2114
「ルターは教会改革、教育改革、社会改革を果たした。ルターによって、封建時代が終わり、人間の自由と平等に目覚めた近代の幕開けがもたらされた。今日、エコロジー、エコノミー、エキュメニズムの3つのEの危機が叫ばれ、近代の終わりに差し掛かっている。地球温暖化、回復不能の原子力問題、貪欲資本主義、広がる格差、難民や災害に苦しむ人々、そして本来一つである教会が分かれている現状。私たちは人間として神の前にどう生きるか問われている。神に救われた人間が次にやることは、隣の人を助けよう、相手のために尽くそうとすること。現代社会の問題に、ルターはしっかりと応えている」
「ルターは死の1日前に『私は神のこじきだ』と言った。神の恵みを受け取りっぱなしの者だという、その感受性こそ我々が生きのびるキーポイントかもしれません。ルターが今日の日本に生きていたら、ルーテル教会の牧師になっていたと思います。信仰義認、いや恩寵義認と言った方がいいほど、私たちは神様の恵みによってのみ救われる。我々は恵みを受けとめるのみだと、ルターは神の恵みの大きさを説いているでしょう」
合同礼拝は宗教改革500年記念プロジェクト準備委員会の永田令牧師(西日本福音ルーテル教会議長・姫路教会)、小賀野英次牧師(同副議長・東徳島教会)、福井基嗣牧師(近畿福音ルーテル教会議長・奈良教会)、三ケ嶋徹牧師(同副議長・津教会)、立山忠浩牧師(日本福音ルーテル教会議長・都南教会)、大柴譲治牧師(同副議長・大阪教会)が司式した。説教は江口氏が務めた。
委員会を代表して福井基嗣牧師は「ルターの取り組んできたことは、今の日本に通じる問題だと再認識できました」と、感謝のことばを述べた。