2017年12月03日号 07面

 デジタル領域の宣教を活性化しようと、国境を超えてクリスチャンのIT技術者、デザイナー、起業家、マーケティング専門家、宣教師、牧師らがネットワークを結び、「インデジタス」という名での働きを広げている。日本でもこの働きを展開しようと、横浜市の7media事務所で働きを紹介するイベントが10月に開かれた。

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 インデジタスは2013年に米国フロリダ州オーランドのCru(キャンパス・クルセード・フォー・クライスト)の働きから生まれた。5大陸でカンファレンスを行なっい様々な地域にも広がった。インデジタス(Indigitous)の名称には、各地域に根ざした(Indigenous)宣教に、デジタル(Digital)技術を役立てることへの意味が込められている。

 ホームページ(indigitous.org)の紹介では重視していることとして、地球規模で神の国の働きのために協働すること、宣教に革新をもたらす最先端のプロジェクトを実施すること。また勧めとして、学び、成長し、協働し、互いを祝福すること。個人的なものを推進するのではない。神の一つの体として協力すること、異論に対しても敬意を払う、共通のプラットフォームで連絡をとり、スパムの拡散は避けることを挙げている。

 協力団体として、Cruのほか、ワン・ホープ、インターバーシティー・クリスチャン・フェローシップ(USA)、フェイステックなど学生青年伝道団体やIT宣教団体がある。

 インデジタスのサイトやブログ(https://indigitous.org/blog/)では、デジタルのテーマについての宣教学的な勧めや、各国の教会でのデジタル利用の事例、集会、キャンペーン情報、アプリケーションソフトの紹介などをしている。

 2016年には、与えられたテーマや課題について時間内に議論し、開発まで行う「ハッカソン」(hackathon)という手法を用いて各地で様々なイベントを催した。ほかにも8週間のトレーニングシリーズ、SEOやコンテンツの注目のさせ方、ミッションカンファレンス、映画写真展などを、フィリピン、ブラジル、インドネシア、エチオピア、メキシコ、南アフリカ、アルゼンチン…など世界各地で実施。難民をテーマにした問題解決の取り組みもあった。

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 今年10月21、22日には、「♯HACK」と称するキャンペーンを実施して、全世界28都市、千426人が参加して、デジタル宣教を推進するイベントなどをそれぞれの場所で開催した。

 横浜でのイベントでは戦略、コミュニケーション、開発、ビジュアルの4領域について、インターネットの仕組み、広告の技術、倫理の問題、データ、 アニメーションなどについて、先進例や日本での可能性が話し合われた。

 イベント冒頭では日本でデータ分析のエンジニアをし、情報学博士課程のホアン・ナバロさんが駆けつけて、「インターネットの未来」と題して発表した。

 「国連において、インターネットにアクセスできることは、基本的な人権として認められてきた。技術が進歩し、クラウド上で様々なデータにアクセスできる。コミュニケーションの主な使用言語は英語だが、ユーザーの母語は様々だ」とインターネット時代を概観した。

 続けて「ネットを利用した履歴は蓄積され、分析されている。履歴を分析することで、どのような会社にその人がマッチするか、どんなトピックが流行かがチェックされる。様々な機器がインターネットにつながるIOT(インターネット・オブ・シングス)、どこからでも情報にアクセスできるユビキタス社会がきている。フェイスブックやグーグルのサービスは無料で利用できるが、実は私たちは、データ分析に必要な個人情報を彼らに提供しているのだ」と述べた。

 インターネットの良い面として、すべての人が思ったことを発言して拡散できることを挙げた。「中東ではツイッターを通じて革命が起きた。際限なく思いを世界に発信できます」

 一方悪い面は多くの「ゴミ情報」があること。「フェイクニュースは、内容の善し悪しにかかわらずの情報だ。インターネットには良いアイデアもあるが嘘の情報もある。しかも発信した情報は永遠に残る。過去の間違いや失敗も残る」と言う。「インターネットには良い面と悪い面がある。クリスチャンはどのように応答できるか」と問いかけた。(つづく)