(C)2016 Paradox/Nordisk Film Production/Film Väst/Zentropa Sweden/Copenhagen Film Fund/Newgrange Pictures

ナチスドイツに“降伏”を迫られた中立国ノルウェー。その理不尽な要求に混乱する政府。そして国王としてホーコン7世が「ノー」と決断するまでの3日間を描いた歴史ドラマ。史実と証言を丁寧に検証したエリック・ポッペ監督が問う、国家リーダーのあるべき姿と国民として期待すべき要望と責務が、ナチスとの対極を浮き彫りにしている。そのメッセージは、台頭する右傾化の現代への問いとして響いてくる。

↓ エリック・ポッペ監督インタビュー ↓
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【あらすじ】

1905年、スウェーデンとノルウェーが同君連合を解消し、ノルウェーは立憲君主国家として独立し、国民投票によってデンマークからカール王子を国王として迎えホーコン7世(イェスパー・クリステンセン)として即位した。

1940年4月9日、ナチスドイツは中立国のスウェーデンとノルウェーに侵攻。ノルウェー軍はオスロ・フィヨルドに入ってきたナチスドイツの巡洋艦を撃沈し戦火の火ぶたが切られた。停戦交渉か徹底抗戦かを決断できないまま政府と議会は、ホーコン国王とオラフ皇太子(アンドレス・バースモ・クリスティアンセン)を伴って首都オスロを退去して北方へ避難し、オラフ皇太子の妻子はアメリカへ亡命させる。

政府が国王と共に首都オスロを退去した混乱に乗じてナチス協力策を主張するクヴィスリングが新政権を宣言し国民は混乱する。駐ノルウェー・ドイツ公使のブロイアー(カール・マルコヴィクス)は、ノルウェー侵攻に疑問を抱いていたがヒトラーの命令を受けて降伏の協定にサインさせるためノルウェー外務省とドイツ軍幹部の間を奔走。クヴィスリングの無能さと実権を有していない実情を本国に伝えるが、ヒトラーが直接電話に出てホーコン国王に降伏を承諾させるよう命じられる。

ドイツ軍の侵攻は破竹の勢いで迫ってくる。ホーコン国王の2歳年上の兄クリスチャン10世(デンマーク王)は逃れるまもないまま拘束され降伏協定にサインせざるを得なかった。そのニュースが伝えられてもノルウェー政府の決断は未だ決定されない。ノルウェーを武力で屈服させようとする軍部に白眼視されながらも、独自の判断でノルウェーが譲歩できるであろうギリギリの条件を思案したドイツ公使ブロアーは必死に国王の居場所を探し、謁見を求めてきた。ホーコン国王は、ブロイアーに会いナチスドイツへの降伏か国を離れても徹底抗戦か、国王としての決断を覚悟する…。

民衆と共に空襲逃れて避難する国王 (C)2016 Paradox/Nordisk Film Production/Film Väst/Zentropa Sweden/Copenhagen Film Fund/Newgrange Pictures

【見どころ・エピソード】
史実ドラマとしての実話にホーコン国王の家族間の苦悩と決断が、家族を優しく見つめるように描かれていく。一方で、ナチスの思想と戦略に組しないブロイアー公使の報われない調整。彼の努力を受け入れられないホーコン国王の応答には、国民投票で認められた国王として国民の総意をどうのよにくみ取るべきか、苦悩し決断すべき“人間としての国王”のプライドがにじみ出ていた。 【遠山清一】

監督:エリック・ポッペ  2016年/ノルウェー/136分/映倫:G/原題:Kongens nei 配給:アットエンタテインメント 2017年12月16日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開。
公式サイト http://kings-choice-jp.com
Facebook https://www.facebook.com/thekingschoice

*AWARD*
アカデミー賞外国映画賞ノルウェー代表作品。ノルウェー・アカデミー賞(アマンダ賞)作品賞・助演男優賞(カール・マルコヴィス)・脚本賞など部門受賞。ノルウェー・カノン賞部門受賞。米国M.P.C.Eゴールデン・リール賞(外国映画部門)受賞。ミネアポリス・セントポール国際映画祭観客賞受賞。ガーデンシティ国際映画祭脚本賞受賞。エディンバラ国際映画祭観客賞ノミネート作品。