4月1日号紙面:静かに神様と交われる高原の宿 宿泊特集 蒜山バイブルキャンプ
2018年04月01日号 05面
蒜山バイブルキャンプは岡山県真庭市の蒜山高原に建つ、水と緑に恵まれた北欧風の美しい宿泊施設だ。標高500m、関西の軽井沢と言われるくらい、夏は朝夕涼しい避暑地として定評があり、春の桜も岡山市より1か月ほど遅い。秋はみごとな紅葉が彩り、冬はスキーや近隣のやつか温泉、三朝温泉など多くの温泉が楽しめる。四季を通じて自然に抱かれながら、ゆったりと過ごせるのが、蒜山バイブルキャンプだ。
西日本福音ルーテル教会の母体となるノルウェールーテル伝道会が1965年に開始した、ノルウェーの酪農技術を指導する研修施設「蒜山農村センター」が、バイブルキャンプの原点だ。ノルウェールーテル伝道会は信徒によって作られた宣教団体。本職の酪農で日本の農村に伝道しようと、故郷の風景を彷彿とさせる蒜山高原に研修施設を作った。その先進的な試みは地元メディアで取り上げられ、農業雑誌で特集されるほど注目された。研修生の青年たちから受洗者も生まれている。
時代が変わり役割を終えた農村センターは、設備を生かして当初はクリスチャンのための、現在は広く一般にも向けた宿泊施設に生まれ変わった。ノルウェーの木材を使って建てた、簡素でゆったりとした建物を、改築、増築して、現在、約42人宿泊できる本館、約30人の別館、定員6人全室個室のファームロッジ、黙想リトリート専用の宿泊棟ベツレヘムロッジなどが広がる。ボランティアのための宿泊棟もある。グラウンドではキャンプファイヤーやスポーツを楽しめる。
キャンプという名前で、キャンプ場と勘違いする人がいると言うが、チャプレンの大橋道也所長は「西洋では日常から離れた場所で仮住まいをして休暇を過ごすことを指します。ここもそういう趣旨で始めた施設です」と、語る。 1990年から所長を務めたカーリ・ヘレネ・ハウゲン宣教師の時代に、日本のクリスチャンは平日は仕事に追われ、日曜日は教会奉仕で忙しくて気の毒だと、ゆっくりくつろげて静かに神様と交わることのできるリトリートセンターを作った。農村センター時代は牛舎だった建物で、イエス様の生まれた馬小屋にちなんでベツレヘムロッジと名付けられた。「ほとんどの人は1〜2泊されますが、ハウゲン宣教師は、ここで長期休暇を過ごしてもらえるように建てたと聞いています。日本の休暇事情から、それはなかなか難しいようですね」と話していた。
水と緑に恵まれた蒜山
現在、宿泊棟で寝泊まりしながら施設の仕事や高原ライフを楽しめるボランティアを募っている。希望者にはオリエンテーションで体力、能力に合った仕事を提供する。
施設では定期的にバッハやショパンを聴く黙想会、聖句写経の会なども開いている。5年前から続けている読書会「『ヘンリ・ナウエン』を読む会」も好評だ。
空気のきれいな高原の夜空は、満天の星に埋め尽くされる。天体望遠鏡を完備した「星空を観る会」も人気の催しで、夏と冬に夜空を覆う天の川には感嘆の声が上がるという。
水は日本の名水百選に選ばれている。バイブルキャンプの水道水はこの名水。提供する食事もこのおいしい水で作られる。ここを訪れた人は中国山地の穏やかな自然の恵みに身も心もリフレッシュされて、高原を下りていくのだ。
【藤原とみこ】
岡山県真庭市蒜山下福田72ノ32
TEL 0867-66-2076
HP http://www.wjelc.or.jp/hiruzenbc/