5月6日号紙面:「笑顔相続」で家族も笑顔に 相続診断士 東京多摩相続診断士会会長 髙橋まどかさん
2018年05月06日号 06面
相続と家族に向き
合う相続診断士
超高齢社会を迎えた日本では今、「大相続時代」を迎えている。一般社団法人相続診断協会のウェブサイトによると、年間約50兆円規模の遺産が、息子、娘、親族などに受け継がれているという。それに伴い、「相続」が「争族」になるケースも少なくなく、実際に家庭裁判所での相続関連の相談は約18万件と、10年前の2倍に増えているとも記す。そうならないためにも、相続の基本的な知識を身につけ、顧客と一緒に相続と家族の問題に向き合い、笑顔で相続を迎える手伝いをするのが「相続診断士」だ。この相続診断士は今年、3万人を突破した。
長年、生命保険の仕事に携わってきたファイナンシャルプランナーの髙橋まどかさんは、3年前に相続診断士の資格を取得。保険代理店に所属しながら、相続診断士としてこれまで30件ほどの相談に乗ってきた。
「相続の話を」と
教会に言われ
「『今だからこそできる、今までのキャリアを生かしながらずっとやっていける仕事を与えてください…』ずっとそう祈っていた。そうしたら、2年前、私が所属する日野キリスト教会のシニアイベントで相続についてのお話をしてくれないかと言われ、それでもう一度真剣に勉強してみました」。髙橋さんは、そう語る。
長年、保険に特化した仕事をしてきた。相続診断士の資格も「持っていたほうがいい」くらいの気持ちで取得していた。だが、改めて勉強してみて、「これは奥が深いし、みんなに知っていただかないといけないことだと思いました」。
遺産相続というと、血で血を洗う争いという、ドラマのイメージがまとわりつく。親が一生懸命働いて愛する子どものために残した遺産が、家族をバラバラにし、時に事件や裁判に発展することもある。そこに相談診断士が中に入ることで、トラブルが解消する場合がある。
髙橋さんはこう話す。「『相続するもの』はお金だけではなく『想い』も次世代に相続していくものと考えます。相談される方の家族の歴史を聞き、その方がどんな人生を送って来られたのか分かったら、『その想いを遺しましょう』という提案をします。相続診断士の役割は、弁護士などの専門家と協力しながら、争う相続を減らし、笑顔相続を広めることで、ご家族がずっと笑顔でいられるよう、お手伝いすることです」
生命保険の仕事
を始めて25年
髙橋さんは、山形県米沢市出身。大学進学のため上京し、卒業後は商社で鉄鋼等の輸出部門に従事。結婚・出産をへて1993年から生命保険の仕事を始めた。生命保険と損害保険、1つの保険会社だけでなく複数社を取り扱い、あらゆる保険業務をこなす。「気がついてみたら、保険の営業は今年でもう25年ですね」と笑う。「たまたまこの仕事を勧められて始めました。最初の数年は手探りで、『なんでここで仕事をしているのだろう』と、保険の仕事が嫌な時もありましたが、だんだん面白くなってきました。今はありがたいことに、20年以上お付き合いいただいているお客様からのご紹介があったりします。長く続けて来たことが、お客様へのいちばんのアフターフォローになっています」
「保険の入口と出口がちゃんとできていないことには、何の仕事にもなっていない」とも話す。「保険の入口とは契約のことで、出口とは支払いの時。最近思うのは、保険に加入されている方が、何で毎月1万円引かれるのか、払った後どうなるのか、ご存じない方が多い。また、保険はわかりにくいと内容を把握されていない方が多い。保険の基本的なことを普通の言葉で普通に説明し、本当にそのお客様に必要な内容をプラニングする。こういったことをちゃんとしていきたいですね」
ゴスペルと出合う
クリスチャンになったのは7年前。きっかけはゴスペルと出会ったことだった。「もともとピアノを弾いたりしていて音楽が好きだったので、40歳過ぎてからまた音楽やりたいなと。以前いた会社の向かいにヤマハの教室があり、ゴスペルと書いてあった。何か格好良さそうだし、コーラスにはお金がかからないし、楽器も使わなくていい。そう思って始めました」
ところが、ヤマハのゴスペルの講師はクリスチャンではなかった。「曲によっては『アーメン』『ハレルヤ』などの言葉が出てくるのに、先生はその意味を教えないし分かっていない。本当のクリスチャンに失礼だなと思い、5、6年やっていったんやめたのです」
だがその2年後、髙橋さんは「本物のゴスペル」と出合うことになる。(つづく) 【中田 朗】