逮捕されても神だけを神として 戦争中も信念を貫き山村伝道 基督教独立学園創立者 鈴木弼美
山形県西置賜郡小国町叶水(かのみず)。周囲を山に囲まれ、冬になれば豪雪地帯となる大自然の中に基督教独立学園という小さな高等学校がある。校内の講堂の正面には「神を畏れて人を恐れず」の文字が掲げられている。創立者の鈴木弼美(すけよし、1879〜1990)は戦中、このことばのとおりに生きたため、治安維持法違反で逮捕され、8か月に渡って監禁された。山奥の寒村に、キリスト教主義教育を通して福音を伝えたいという熱い思いで学校を造り、その途上で戦争という荒波にもまれながらも信念を曲げなかった鈴木の歩みについて、長女・今野和子さんに話を聞いた。
鈴木が最初に特別高等警察(特高)にマークされるようになったのは、この航空工廠時代である。「武器で人を屈服させることはできるが、心服させることはできない」、「天皇を神と崇めることはかえって国体のためにならない」などの発言が密告され、要注意人物とされていたのだ。(聞き手・結城絵美子=フリーライター)(8月12日号で詳細)