2018年09月30日号 04面

 世界中の困難の中にいる子どもたちのために、シューボックスに詰めたクリスマスプレゼントを贈るオペレーション・クリスマス・チャイルド(OCC)。キリスト教国際支援団体「サマリタンズパース」の働きとして、1993年、紛争の中にいたコソボの子どもたちに向けた働きから始まった。日本では東日本大震災の緊急支援活動のつながりから、2012年に活動を開始した。17年には全世界で約千100万箱のシューボックスが配られ、日本からは1万3千527箱がフィリピンに送られた。

22090179_1450666191647060_25924021844468515_n

写真=シューボックスを受け取り大はしゃぎの子どもたち

同日本スタッフのローレンス綾子さんは、「プレゼントをもらって子どもたちが喜んでよかった。それだけに終わらない」と言う。「現地ではシューボックスの配布と同時に12週間の聖書の学びが効果的に行われている。昨年学んだ子どもたちは世界で300万人以上。子どもたちが福音に出会うことは、その場だけの喜びに終わらず、子どもたちの将来を決める。OCCを通して世界宣教の一端にかかわることができるのです」

 シューボックス配布集会は現地の教会の協力で開かれ、バイブルクラスのための小冊子「世界最高の旅」が配られる。事前に訓練を受けた現地のクリスチャンが子どもたちに聖書の学びの機会を提供し、修了すると子どもたちは母語の聖書をもらえる。

   「フィリピンでは、教会リーダーたちが教会開拓につなげようと戦略的に取り組んでいる。フィリピンはクリスチャンが多いように思えるが、島が数多く、教会がないところもある。そこをターゲットにしてリーダーを送り、子どもたちを集め、家族が救われ、教会を生み出しています」

   「通常クリスチャンが入れないような未伝地域にも、シューボックスならば入ることができる。毎年世界の未伝部族の10部族にシューボックスを届けている。文字文化が無い場合も、小冊子の代わりに音声朗読録音を事前に準備するなどしています」

家族変え、教会が生まれる

 動画サイトyou-tubeの「オペレーションクリスマスチャイルド・サマリタンズパース」の動画から世界のエピソードを紹介しよう。

 旧ソ連で生まれたユリアは、クリスチャンではない家庭に生まれた。ソ連崩壊後、経済危機が起き、2001年にOCCの支援があった。受け取ったシューボックスの中には、自国では手に入らないおもちゃがあった。同時に心に残ったのは手紙の「パワフルな文章」だった。「あなたのために祈っています。神様はあなたを愛しています」    

  「神様とは誰だろう」。ユリアの心で何かが掻き立てられたのを感じた。そのような思いを胸にとめ、15年にシューボックスを贈った家族を訪ねた。その時、その家族のお母さんが「このシューボックスは単にどこかの国にいくのではなく、福音が宣べ伝えられていないような国に届くように」と祈っていたことを知る。彼女はそれぞれのシューボックスに神様の御手が働くことを確信したと言う(動画「ユリアのシューボックス物語」)。

スクリーンショット(2018-09-17 10.47.37)

写真=動画「シューボックスを受け取った後は? 〜ニカラグア編〜」から(左)

 厳しい家庭環境にいた、ニカラグアの5歳の女の子サライは家族の変革を体験した。お父さんは酒飲みで、家庭内暴力をしていた。そのような中、サライがシューボックスを受け取り、バイブルスタディーに参加した。ある日曜日、「パパが教会に行かなかったら、ご飯食べない」と父親を教会に誘った。教会で父親は信仰を持つと、酒をやめ、暴力も振るわなくなった。妻は「主に言い表せないほど感謝します。私の人生は前と全然違います」と語った。

 ホセ・ビスマルク牧師は、子どものころにシューボックスからサッカーボールをもらう。そのボールを使い、バイブルスタディープログラムと協力して、サッカーミニストリーを始めた。16歳で牧師になり、現在数百人の人々が集う教会を牧会している。「1つの箱が子どもを変え、コミュニティー全体が変わる。これは奇跡にほかなりません」(動画「シューボックスを受け取った後は? 〜ニカラグア編〜」)。

   ◇

 ローレンスさんは「子どもたちや若者に、『与えること』を教える素晴らしい機会となり、子どもたちの視野が世界に広がる。教会学校の働きにおわらせず、教会全体で取り組んでもらいたい。同じ目的のために一緒に活動することで、派閥や世代の壁が崩され、一つになれる。チャリティー活動の一環として地域に働きかけ、伝道の場として用いることも可能」とOCCを勧める。

 プレゼントを選ぶことが難しい場合も、献金を通して「おまかせBOX」を送ることができる。