2018年11月18日号 01面

 2020年オリンピック・パラリンピック開催などを契機に、日本を訪れる外国人は増加を続けている。そのような時代の中、多様な外国語教会が言語を超えてネットワークを結び、日本における宣教協力をしようと、エスニック・ミニストリーズ・ネットワーク・ジャパン(EMNJ)を昨年結成。リーダーが定期的に連絡を取ってきた。11月3日には、さらに広く関係する人、関心を持つ人たちが集い、感謝祭(サンクスギビング・セレブレーション)を東京・世田谷区のJECA・宣教教会で、開催し交流した。。【高橋良知】

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写真=終盤では牧師、宣教師のために祈った

 リーダー、コーラスはフィリピン人、伴奏はブラジル人、ボリビア人、日本人という編成のバンドが賛美を導いた。多国籍の会衆は全身でリズムをとり、声を合わせた。司会は中国人。ほかにも報告ではネパール人らが立った。聖書メッセージ、各ネットワークの紹介と祈りの応答、全体で祈る時間があった。共通語は、日本語、もしくは英語だ。

 EMNJは、昨年から3か月に1回のペースで、祈祷会を続けてきた。これに協力してきた福田崇さん(世界ウィクリフ同盟霊的大使)は「3回目の集まりで何かを一緒にやろうという声が上がり、まず一緒に礼拝しようということになった。5年前からフィリピン人の教会のネットワークでは、11月に感謝祭をやっており、このときに一緒に集まる集会が実現した」と話す。

 日本福音同盟(JEA)では、2016年に宣教委員会に異文化宣教ネットワーク部門を設けた。在外日本人宣教とともに、日本にある外国語教会とのネットワークづくりも進めてきた。挨拶で、品川謙一さん(JEA総主事)は「グローバルとローカルのつながりが大事だ」と話し、「第6回日本伝道会議データブックによれば、在日外国人クリスチャンの数は日本人クリスチャンの数とほぼ同じ。神様は国外でクリスチャンになった日本人や在日外国語教会と日本の教会が協力することを願っていると思う。ぜひ皆さんと協力していきたい」 と語った。

 同宣教委員会委員長の中西雅裕さんは「日本のクリスチャンが1%未満と言われていたが、外国から来た人々を推計すると1%を超える。皆さんのおかげで日本の宣教に大きな力が与えられている」と話した。

 メッセージでセンド国際宣教団のポール鈴木さんが「それぞれ、国、文化は違うが、同じく日本にいる者として、橋わたし役(ブリッジビルダー)の大きな役割がある。それぞれが与えられる場で、証人として、地の塩、世の光となるように願う」と勧めた。さらに「すぐに何かしようとなるのではなく、イエス・キリストを中心に意識して動かないといけない」と強調。イザヤ6章1〜8節を引用し、神が示す現実があること、宣教に取り組む前に、神様と正しい関係を築き、遣わされるという一つ一つのステップがあることなどを述べた。

同郷と日本人のために祈り合う

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写真=多国籍の人々によるバンドが賛美を導いたDSC06570

写真=祈り合う姿が多く見られた

 各外国語教会のネットワークの報告もあった。JCC(日本華人クリスチャンセンター)は、救霊、弟子訓練、スモールグループ形成、宣教を4つの柱に活動する。全国57の中国語教会とつながり、全国大会を開催する。2か月に1回の聖書研究会には50人が参加、毎月祈祷会も実施。ほかに訓練会や様々なセミナーを開いた。日中韓をルーツにするクリスチャンが集う、東アジア青年キリスト者大会にも協力している。2030年までに800人を訓練し、400の聖書研究会の形成、海外に200人宣教師を派遣することを目標にしている。日本のクリスチャン、日本人とも協力も模索している。

 1つの教会堂を日本語教会、ポルトガル語教会、スペイン語教会の3教会が共有し協力し合っている事例も紹介された。神奈川県秦野市の日本ホーリネス教団秦野キリスト教会、ブラジル福音ホーリネス教団秦野教会、エバンジェリカ・サンティダ(ボリビア)教会の3つだ。年に3回合同礼拝、バーベキューなどの交流会をする。また各教会のメンバーによる合同賛美グループも形成され、今回の賛美チームの核になった。「文化の壁、言語の壁はあるが、ともに神に向けることを聖書は教えると理解したい」と報告。

 祈祷課題として、3つの教会の関係がこれからも続くように、ほかの日本の教会ともつながり、神にみ言葉に使える働きができるように、が挙げられた。

 日本のネパール人クリスチャンは、一組の夫婦の働きかけで、フェイスブックを通じてネットワークが広がった。当初レストランなどで集まっていたが、人数が増え、14年にウトサハ・ネパール人教会が始まった。全国にスモールグループが立ち上がり、16年には各集会を連絡するクリスチャン・ネパーリー・ソサイエティーが設立された。17年には霊的覚醒のセミナーを開催。ネパール人のチャンドラ・キラン・マガー牧師が招聘されるようになった。教会のネットワークで、クリスマス新年会、誕生会、イースターなどのイベントを開いたり、震災支援の募金もした。毎月第1土曜には、徹夜祈祷を実施しており、ユースによる徹夜祈祷も始まった。 祈祷課題として、女性会の働き、聖霊による教会形成、教会学校の働き、法人格取得などが挙げられた。

 フィリピン人教会はJCPC(在日フィリピン人教会連合)を形成する。3月には日本のために祈るBLESS   JAPAN、11月には、感謝祭を開いている。今年10月にはフィリピンにある9団体と協力してフィリピンの2都市で日本への宣教を励ますBLESS JAPANを開催した。

 祈祷課題として、より多くのフィリピン人教会が関われるように、日本の教会とパートナーシップをとれるように、インターネット・ラジオの活用、第2世代のため、を挙げた。

 ほかにもモンゴルの事例や、カンボジアでの国際交流の取り組み、帰国できないアフガニスタンからの留学生の課題などが報告された。

 ネパール人、モンゴル人、中国人による証しもあり、病からの癒し、土着の信仰の中からイエス・キリストに出会い、変えられたこと、キリストに従う決意などが話された。