12月2日号:渡邉夫妻「私たちに必要な心のあり方」語る 「より幸せに生きる」とは 『こころを整える しあわせレシピ』出版記念セミナー
2018年12月02日号 02面
『こころを整えるしあわせレシピ』(エッセイ/渡邊義、奈都子著、マンガ/のだますみ)の出版記念セミナーが11月9日、東京・中野区中野のいのちのことば社で開催。「聖書と心理学から学ぶしあわせの創り方」をテーマに、著者の渡邊夫妻がワークショップも交えながら「私たちに必要な心のあり方」について語った。
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「ここ20年、ポジティブ心理学という、私たちがより幸せに生きていくためにはどういうことが役に立つのかが研究されるようになった。その研究成果に、私たちがよって立っている聖書の御言葉がプラスされ、できあがったのがこの本です」。最初に奈都子さんが、この本について説明した。
『こころを整えるしあわせレシピ』は、月刊誌「百万人の福音」の好評連載に加筆し、マンガを加え編集されたもの。だが、「執筆のお話をいただいた時、とてもハードルが高かった」と奈都子さんは明かす。「夫は家族全員クリスチャンの中で育ったけれど、結婚前に受洗した私は、それまではお寺の幼稚園に通い、クリスマスもお祝いするが門松も立てるという家で育った。クリスチャンだけどまだまだだと思いお断りするつもりだったが、夫が一緒に書いてくれるならできるかな、と。それで共同執筆という形で書かせていただきました」
一方、義さんはこう語る。「生まれながらクリスチャンで、聖書に慣れ親しんできた。聖書は、人間がどういうふうに生きていくといい感じでいられ、どういうふうになると調子が悪くなるか、が書いてある、ある意味で、人間の説明書だと理解している。心理学では140年前から心の働きを研究し始めているが、心理学の知見と聖書が語り継いできた人の理を見ると、とても面白いなと。ますみさんが3人のキャラクターを立て、マンガで内容を描いてくれたおかげで、文章が人格をもち、伝わりやすくなったと思います」
講演では、ポジティブ心理学の重要なキーワード「ウェルビーイング」について説明。「健康的な良い状態、幸せ、よりよく生きている状態などと訳される。WHO(世界保健機構)憲章の健康の定義にも見られるもの」と話した後、「では、自分が考える幸せな人、健やかな人ってどんな人?」と質問した。会場からは「ちゃんと自分を生きられている人」「落ち込んでも回復する能力を持っている人」「なるようになると思っている人」などいろんな声が上がった。また、「どんなことを心がけると幸せや健康を促進できるか」との質問には「睡眠を取る」「自然の中にいる」「運動する」「美味しいものを食べる」「没頭できる趣味を持つ」などの応答があった。義さんは、「心理学の最初の頃は、調子が悪くなった人をどうすれば元に戻せるか、という研究だったが、1998年頃から、いかに私たちが幸せに生きていくか、そのためにどんなことが関係しているのか、という研究が始まった」と話す。
その上で、マンガに登場する心配性のC美さんの事例から、2人はマインドワンダリング、マインドフルネス、ネガティブ・ケイパビリティーという3つの概念について解説。マインドワンダリングとは、精神が迷走し、目の前の課題から注意がそがれる、身体と心が不一致の状態で、日常生活の中でこの状態はよく起こる。その意識を元に戻すのが、瞑想の効果を科学的に実証したマインドフルネス。過去の囚われや将来の不安から解き放ち、〝今〟を生きるための「心のエクササイズ」と言えるものだという。
ネガティブ・ケイパビリティーは、「不確実なものや未解決のものを需要する能力」(詩人ジョン・キーツの言葉)。性急に答えを出したり証明しようとしないで、その中から何かを感じ取り、その中からできることを見つけることだ。
義さんは言う。「聖書を読んで祈り静まる。疑問なくやっていたけれど、ウェルビーイング、マインドフルネスの研究を始めて、ああこれなんだなあと思いました」