2018年12月02日号 02面

外国人との共生をめざす関西キリスト教代表者会議、世界宗教者平和会議日本委員会(WCRP)、エキュメニカル・ネットワーク(E─net)共催で、大韓赤十字社の朴庚諸(パク・キョンソ)会長を迎えた講演集会が11月16日、日基教団・東梅田教会で開かれた。テーマは「南北・東北アジア平和共同体構築のための宗教者の役割」。
朴氏は1982年から18年間、スイスのジュネーブにある世界教会協議会(WCC)本部でアジア局長および政策議長を歴任した。長年諸外国、韓国の人権擁護活動に貢献、キリスト者として南北の和解と平和構築に尽力してきた。2017年に第29代大韓赤十字社会長に就任して以来、公共医療事業や災害救護、社会奉仕事業、離散家族再会・南北交流事業等の推進においてもリーダーシップを発揮している。IMG_3237
朴氏は「平和を作りだすのが我々の役目。73年もの間南北は憎み合い、対峙(たいじ)してきました。時間はかかるでしょうが、必ず恒久的平和が来ると信じています。そうでなければ、神にゆるされないと思っています」と、呼びかけた。
82年にWCCが、朝鮮半島・東北アジアの平和と和解への取り組みは重要課題であると明言して以来、世界の宗教指導者は84年に日本で行われた「東山荘会議」を経て、平和構築へのプロセスを編み上げてきた。今年4月の板門店宣言は朝鮮半島の非核化を約すものとなり、シンガポールの米朝首脳会談はそれを追認するものとなった。6月のWCC70周年記念行事では教皇フランシスコが南北の教会代表と会見して、全世界に向けて朝鮮半島・東北アジア宣言を出した。10月に教皇は、公式の招待状が届けば平壌を公式訪問したいとの意思を明らかにした。
「世界平和の象徴である教皇の平壌訪問への意志は、東北アジアの平和の定着を期待させるものです。教皇の訪問が日本訪問とリンクさせる中で推進されるのであれば、その実現の可能性は高まると思います。日本の役割が大きく浮上しています。この歴史的な平和共同体構築に於いて、日本の力は欠かすことができないものです」
「日本の国力と平和を愛する日本の国民的伝統は、世界の平和に影響力を及ぼし得る。日本の宗教者が先頭に立ち、東北アジアの宗教者・市民団体がそれに加わるなら、数段効果的なものになる。日本の平和憲法は守られ続けなければならないし、平和を愛する全世界の人々が共有しなければならないものだと思います」
最後に朴氏は「すべての宗教指導者が地球上に平和共同体を構築するために邁進(まいしん)して行かなければならない。特に日本と韓国の宗教者は朝鮮半島さらに東北アジア平和共同体の構築のために手を取り合って進んで行かなければ」と、力強く呼びかけた。