2019年、即位儀式、大嘗祭など「代替わり」の一連の儀式が「国事行為」「皇室行事」として国費が使われるが、これに対する税金の支出は明らかに違憲行為だとして、全国の宗教者、市民ら241人が国を相手取り、公金支出の差し止めと一人当たり1万円の損害賠償を求める訴訟を12月10日、東京地裁に提訴した。
 原告は、「一連の儀式が憲法の『政教分離原則』『主権在民原則』からみて、多くの問題をはらんでおり、これに対する税金の支出は明らかな違憲行為である」とし、「主権者ならびに納税者として、一連の儀式に対する税金の支出に対する差し止め請求と、すでに着々と準備が進んでいることに対する精神的苦痛などの被害に対する賠償を求める」と訴訟を提起。
 記者会見で代理人弁護士は「今回の訴訟でいちばん中心となるのが政教分離」だと指摘。「国が一宗教とコミットすることにならないか。天皇が憲法の中でどういう立場か、どういう地位を与えられているか、何が許されているのかという点から問題提起できればと思ってる」と語った。
 一般原告として会見にのぞんだ日本基督教団牧師の堀江有里氏は「一人の牧師として、税金を使って宗教儀式を行うこと、納税者すべてが巻き込まれていくこと、それに反対することもできない状況に、憂いをもつ」と表明。「私が所属する日本基督教団は、戦時下、天皇の名のもとに戦争協力に邁進(まいしん)してきた。内部的には沖縄の諸教会を切り捨て、植民地政策の先鋒となる役割をしてきた。特に簡単に国家神道と結びついてしまう有り様、大きなものに巻き込まれていく体質を自ら振り返りながら、この罪責の上に自分自身があることを忘れてはならないと思っている」と語った。