『ぼくはアフリカにすむキリンといいます』(偕成社、1,080円税込)というお話を読んだことがあるだろうか。退屈なキリンが一度も会ったことのないペンギンと文通を始め、ペンギンとはどんな姿かと想像をたくましくし、やがてペンギンの格好をして会いに行くというお話だ。この作品は世界各国の言語に翻訳されており、昨年10月、ドイツで最も権威のある「ドイツ児童文学賞」の児童書部門で金賞を受賞した。作者は童話作家の岩佐めぐみさん(ぶどうの木八王子キリスト教会員)だ。岩佐さんは「27歳の時に見た夢がすべての発端だった」と語る。
 『ぼくはアフリカにすむキリンといいます』は、2001年に出版され、今年1月の時点で16刷りを数えるロングセラーだ。絵は絵本作家の高畠純さん。この作品は韓国語、台湾語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、英語、ドイツ語など世界各国の言語に翻訳され、さらに他国からの翻訳のオファーがあるという。また、この作品をきっかけに、『わたしはクジラ岬にすむクジラといいます』『オットッ島のせいちゃん、げんきですか?』など、シリーズ化もされている。キリンとペンギンといった身体の形も生活スタイルも全然違う二つの動物が交流してお互いを知り、認め合うという内容は、人種も民族も言語も文化も全く違う人同士の「異文化交流」をほうふつとさせるお話としても注目を集める。
 この作品が誕生するきかっけは、「不思議な夢」を見たことだった。(2月10日号で詳細)