ミャンマーで大地震 軍事政権の不安 アトゥトゥ祈り会で共有
マンダレー「スカイヴィラ」と呼ばれる11階建コンドミニアムは、下層階6階分が崩壊し、現在も救出活動が続く。(渡邊さんの知人の知り合いがこのヴィラの従業員で、発災当時6階にいて建物の下敷きになった。5時間後に民間人の手で救出され、無事とのこと)。
ミャンマー中部マンダレー付近を震源とするマグニチュード7.7の地震が、3月28日午後3時過ぎに発生し、広範囲に影響を与えている。隣国タイ・バンコクでも被害が起きているが、ミャンマー国内の被害状況の全貌はつかみづらい。
2021年の軍事クーデター後、毎週金曜日に開かれている「ミャンマーを覚える祈り会」(第216回)が同日も開かれた。地震のことともに、社会状況、同祈り会から生まれた「アトゥトゥミャンマー支援」の活動状況が共有された。同共同代表の渡邊さゆりさんは、「建物やインフラの情報はこれから」と話す。「タイでビル被害が報じられているが、国外避難したミャンマー人労働者が巻き込まれている可能性がある。被害を受けても身元を明かせないことが懸念される。SNS上で出回る合成写真が人の心を惑わしている状況にも注意を払い、情報を精査して発信したい」
ミャンマーの軍事政権は国際的人道援助を求めている。「国内で非人道的なことをしているのに、そんなことを言えるのか、という意見もあるが、今のミャンマーでは太刀打ちできない災害に、国際社会から支援を届け、軍に物資をとられないように見張りながら、何とか人々の命が助けられるようにしたい」
直近のミャンマー情勢について解説した。3月27日には、ミャンマー軍結成80周年記念式典が開かれ、7000人以上の兵士が参加(兵士らの乱闘騒ぎも)、ロシア、ベラルーシの代表者も列席していた。
今年12月または来年1月に実施するとされるミャンマーの総選挙も懸念。「『自由で公平な選挙』をスローガンにするが、そもそも、クーデターのきっかけとなった2020年の総選挙で圧勝した、アウンサンスーチーらのNLD(国民民主連盟)を政治団体登録から削除している。軍事政権はクーデター以降、多くの人を拘束し、恩赦は出しているが、政治犯の恩赦は少ない。法律も毎月変えられている。日本の市民も日本政府に明確な態度を示してもらうため、4月1日夜に官邸前行動をします」
渡邊さんは、毎週4年以上継続し、216回に及んだ同祈り会を改めて振り返った。「ミャンマーの人々のCDM(市民的不服従)に突き動かされ始まった。Z世代が親世代の1988年クーデターの記憶を自分事として心に根付かせて、決断せざる得ない状況で決断して行動した。その喪失感、悔しさも感じながら、私も自分自身の信仰の問題として行動を決意した。しかし何もできないことを突き付けられ、祈りに行き着いた。祈るしかできないが、祈ることができる。大災害で生き抜くのが厳しい人の気持ちも想像する。祈りを以て応えたい」
アトゥトゥミャンマー支援では、金銭や物資、ランチなどを具体的に支援している。日本国内のミャンマー人の支援もしている。現地からは子どもたちの通学を支えるスクールトラックが使い古されており、整備補修の支援の要請があった。
アトゥトゥミャンマー支援ホームページ URL atutumyanmar.org
関連
★「クリスチャン新聞WEB版 https://クリスチャン新聞.com/csdb/」(有料)では、
1967年創刊号からの週刊「クリスチャン新聞」を閲覧、全文検索(1998年以降)できます。