2019年03月17日号

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石川県金沢市にあるキリスト教専門書店「ＣＬＣ金沢店」（藤尾光彦店長）は、１９７３年に金沢市に開店。以来46年間、主に石川県、富山県、福井県の教会やキリスト教主義の幼稚園、保育園、キリスト教主義学校を、車に商品を積んで定期的に回り、聖書、キリスト教書、ＣＤ、クリスチャングッズなどを届けてきた。ネット販売が主流になってきた昨今、訪問販売をやめるキリスト教書店が少なくない中、ＣＬＣ金沢店は「教会に仕える」「書店のない地域に本を届ける」というＣＬＣのスピリットを守り続ける。記者はＣＬＣ金沢店の車に同乗し、主に能登半島にある教会の訪問販売に同行した。【中田　朗】

３月２日、ＪＲ金沢駅東口で藤尾さんと合流し、８時20分に出発した。藤尾さんがＣＬＣ金沢店に赴任したのは１９９４年。以来25年、北陸三県の訪問販売をしてきた。その間、少子高齢化、過疎化の影響を受ける北陸の教会の現状を見聞きしてきたと言う。「無牧や兼牧の教会が増えている。福井や富山の教会では、兼牧の教会の多くが夕方に礼拝をし、協力教会の牧師が行ってメッセージをしている。後任の牧師がいなくて教会がなくなったところもある。若い牧師も少ない。それ以上にキリスト教主義の幼稚園がなくなってきている。少子高齢化は全国的傾向だが、地方のほうが軒並みその傾向が強いと思います」
当日は河北郡にある２つのキリスト教主義保育園に注文の品を届けた後、チャーチオブゴッド・津幡キリスト教会（渡邊恵樹牧師）、羽咋市の日基教団･羽咋教会（内城恵牧師）、聖書教会連盟・羽咋聖書教会（梶山献一牧師）、輪島市の日基教団･輪島教会（新藤豪伝道師）、聖書教会連盟・輪島聖書教会（荒川康司牧師）、七尾市の聖書教会連盟・七尾聖書教会（永井仁志牧師）と、主に能登半島にある教会を訪問。
能登半島には９つほどの教会があるが、礼拝出席者はどの教会も十数人ほどだ。聖書教会連盟・門前聖書教会、日基教団･富来伝道所のように、無牧になった教会や、中には閉鎖した教会もある。だが、ＣＬＣ金沢店は月１回（輪島は３か月に１回）必ず、月刊誌などが届く月末に能登半島の教会を訪れる。有料道路だった「のと里山海道」が全線無料になったことで「少し楽になった」と感謝する。
当日は晴天だったこともあり、行く先々の教会の門前や駐車場に車を止め、商品を並べた。イースターが近いということもあり、商品はイースター関連のものや、最近出版されたばかりの新刊、トラクトなど。中には『巨匠が描いた聖書』（町田俊之著、フォレストブックス）や、記者同行ということでクリスチャン新聞福音版の証しを集めた『人生の転機 明けない夜はない』（いのちのことば社）などをセールス。教会の牧師、信徒たちは興味津々、本やグッズを手に取って眺めていた。
教会の牧師に、ＣＬＣ金沢店が教会を訪問してくれることの意義について聞いてみた。津幡キリスト教会の渡邊牧師は「至れり尽くせり。お店もそんなに遠くないけれど、忙しい時は行けない。来てくれるのはありがたい」、羽咋教会の内城恵牧師は「この町には聖書、キリスト教書籍を売っているお店は一店もないので、月１回でも来てくれるのはありがたい。週報でも毎回告知している。藤尾店さんといろんな言葉を交わしながら、手に取って見られるというのもうれしい。ＣＬＣさんは御言葉とキリスト教文化の窓口だと思っています」、北陸学院大学で働く夫の愛氏は「キリスト教のキの字も知らない地に金沢から宣教師が遣わされてきたという感じ。伝道の使命を共にしているという安心感があります」と語る。
羽咋聖書教会の梶山牧師は、「毎月１回送料なしで届けてくれるので、急ぎでないものはＣＬＣにまとめてお願いしている。教会に置いてある委託販売も利用させてもらっている。この地域は仏教が強く求道者は多いがなかなか根付かない。身内から反対されると、せっかく信じても教会を離れるケースが多い。礼拝出席も15、16人ほど。このような厳しい地域にある地方教会にわざわざ来て下さるＣＬＣさんの存在は大きい」と感謝した。
輪島教会の新藤牧師は「信徒の方がいつも楽しみにしている。金沢まで買いに行くと片道２千500円。それを考えると、３か月に１度でも来てくださるのは大きい。お願いしたものも、必ず届けてくださる」、輪島聖書教会の荒川牧師は「注文すれば必ず持ってきてくれるので、『急がないので』とお願いしておけば次来た時に受け取れる。ＣＬＣは、それほど本も売れず、ガソリン代も出ない20人以下の教会にも来てくれ、無牧教会も回っておられる。輪島市は16年前には人口５万人だったのが現在は２万７千人、２０４５年には経済破綻するのではと言われている。そんな過疎地にある教会にとって、ＣＬＣの存在は教会の下支えという意味で大きい」、七尾教会の永井牧師は「委託本をいつも置いてもらって助かっている。デボーション雑誌も結構多く購入している。加藤常昭先生の本など、ＣＬＣを通じて立場の違う先生の本も読むようになり、目が開かれる経験をした」。
ＣＬＣ金沢店は、北陸の地で教会に仕え、その働きを支えている。