2019年04月14日号

写真=籐(とう)の棺

 兵庫県西宮市の有限会社イースター式典社(小林望取締役社長)は、キリスト教専門葬儀社の草分けだ。創業以来40年近く、悲しむ人に寄り添い、再会の希望をもたらす心のこもった葬儀を担ってきた。現在神戸、大阪を中心に、中四国、三重、福井の依頼にも応えている。

 キリスト教葬儀が宣教の一助となることをめざしてきた同社は、葬儀を通して救われた遺族や参列者をたくさん見てきた。「牧師さんのメッセージはわかりやすいし、暗くないし、キリスト教の葬儀っていいね」というクリスチャンではない参列者の声を、よく聞いてきた。

 同社の棺や遺影を飾る生花装飾の美しさは定評がある。天国を想わせる彩り豊かな花々の装飾は、遺族の心も慰めるものだ。葬儀は遺族の再出発の場でもある。天国に送り出す平安と希望を表わす花の装飾に、生花スタッフは気温の変化も考慮しながら、細心の注意を払う。

写真=美しい生花装飾

 葬儀社の多くは部門ごとに担当者が変わるが、同社は専任スタッフ制を取り入れている。打合せから式場の設営、式進行すべて、一つの葬儀に一人の担当者が責任を持って携わっている。スタッフにとって、多くの場合故人とは面識がない。遺族や牧師、教会の人々と時間のある限り接して、密に話を進めていく中で、故人の人柄が鮮明になっていく。

 「こういう方だったんだ」。天に送る人に思いを馳せながら、心を込めて式を進めて行ける。

 近年葬儀の自由化、簡素化が進み、中には葬儀はしない、墓もいらないという声も聞こえるようになってきた。キリスト教葬儀は教会からの依頼が多いため、極端な簡素化はあまり見られないが、家族と教会役員だけという葬儀や、牧師だけ呼んで自宅でひっそりと行うというケースも増えているという。

 平良直人部長は「私たちはなるべく、ご遺族にお見送りに参加していただくようにしています。何もかも葬儀社がしてしまうというのも、ご遺族への配慮かもしれませんが、棺に納めるときに手を添えていただいたり、故人にお化粧をしていただいたり、ほんの少しのことが、故人のためにしてあげることができたという、後の心のケアにつながるからです」と語る。これも深い心配りだ。

 近年の簡素化の要因として、やはり費用がかかるという点は大きい。経済的に困っている人でも、同社はできる限りのことをする。どんな相談にも柔軟に対応している。

  「葬儀の規模は関係ありません。どんな小さな葬儀でも、私たちは同じように心を込めてやるだけです」

 最近は終活の相談が増えた。葬儀に関わるさまざまな事柄に、専門家を交えて相談に乗っている。教会での終活セミナーも行っている。同社のパンフレットはエンディングノート付き。自らの葬儀の希望を記しておけるものになっている。

   「キリスト教葬儀専門の葬儀社だからこそできることがあると、私たちは思っています。クリスチャンが減り、教会も淘汰されていく時代に、心のこもった温かい葬儀を通して、伝道につなげていきたいと願っています」

     【藤原とみこ

 イースター式典社西宮本社〒663 – 8114兵庫県西宮市上甲子園5ノ10ノ23、TEL0120・415・087、FAX0798・37・3789、info@easter-net.co.jp