モザンビーク サイクロン支援呼びかけ 水没 破壊 感染症の恐怖に震え ハンガーゼロ チャリティコンサートで協力要請


3月14日から15日にかけてアフリカのモザンビークを襲ったサイクロン「アイダイ」は、南半球で過去最大級の自然災害となった。死者は千人以上、被災者は約200万人の見込み。ハンガーゼロでは現地のFH(国際飢餓対策機構)とKFHI(韓国)と共に緊急支援を行っている。4月19日には大阪市中央区の大阪クリスチャンセンターで緊急支援チャリティコンサートを開いて、祈りと支援を呼びかけた。出演はピアニストでハンガーゼロ親善大使の小堀英郎さん、同じく親善大使でフルート奏者のソン・ソルナムさん、アフリカから駆け付けたチェロ奏者のHA!MAN(ハーマン)さん。有井慰作氏(シオン宣教団・和歌山シオン教会牧師)の司会進行で、現地報告はハンガーゼロの清家弘久理事長が行った。【藤原とみこ】

初めに映像で被災地の水没した大地が映し出された。壊れた建物が連なり、8年前の東日本大震災を想わせる光景が広がっていた。避難した多くの人々の憔悴(しょうすい)した姿も映された。
小堀さんは「現地では家を失い、感染症の恐怖に震えながら過ごしている人がたくさんいます。被災者の方々が、本来の生活と笑顔を取り戻せるように、大阪からアクションを起こすことができたらと願っています」と語り、エルガーの『愛のあいさつ』やオリジナル曲を演奏した。
5年前の広島土砂災害から昨年の西日本豪雨災害に向けた支援を行っているキリスト教会・広島災害対策室の北野献慈牧師からの「被災地からの手紙」が紹介された。「水害は一番大切なものを失い、一番いらないものが舞い込んでくると言われます。どうか体に気を付けて頑張って」と、励ましていた。岡山キリスト災害支援室の草井琢弘牧師からも「モザンビークの皆さん、皆が手を差し伸べるから希望を持って」と呼びかける手紙が紹介された。
ハーマンさんは生粋のアフリカ人。チェロを自在に操るユニークなオリジナル曲で、アフリカの自然や信仰を表現している。「非常に困難な中にいる人々を助けるために来ました。こういうとき、自分の小ささを痛感します。災害は理解できない。だから、問いかけ続けています」と、自らの思いを音楽に託した。
清家理事長は被災地で伝染病が広がっていることに言及した。コレラは4月11日現在4千373人が罹患(りかん)し、8人が亡くなっている。マラリア感染者は7千500人以上。医療施設は約55か所破壊された。学校も3千344校が失われた(4月2日現在)。
「被災地では予防接種を行い、生活必需品を配って支援しています。モザンビークの人たちは、壊れた学校3千344の再建を、また一から始めていくつもりです、多くの人の協力で一つずつ増えていくでしょうと、話していました。国を再建したい、子どもたちを教育したい、と。モザンビークは貧しい国です。でも、皆さんの協力が、子どもたちの未来を築き、脆弱(ぜいじゃく)な国を強くしていくと信じています。ぜひ、周りの人にも声をかけてください」

ソンさんはアフリカ宣教師の苦闘を描いた映画「ミッション」のテーマを、映像と重ねて演奏した。テレビドラマ『イ・サン』のテーマ等オリジナル曲も披露して「どうしてこんなことが起こるのか、時々神様に文句を言いたくなることがあります。でも、神様は全ての人に計画を持っておられる。全ては神様によって素晴らしいものに変えられると、私は信じています」と、呼びかけた。
コンサートの後、奈良県の王寺町のやまと西和ロータリークラブから支援金が手渡された。ハンガーゼロの大阪事務所のある大阪府八尾市の八尾ロータリークラブ、東大阪中央ロータリークラブからも支援金が届けられたという。
アンコールは出演者によるトリオで『アメージンググレイス』を披露。息の合った美しい演奏に、会場から熱い拍手が送られた。
緊急支援募金は郵便振替またはウエブサイトから直接クレジットカード決済が利用できる。URL url:http://www.jifh.org▽郵便振替00170・9・68590、日本国際飢餓対策機構(記入欄に必ず「モザンビークサイクロン」と明記)