5月26日号紙面:「被災地の人がどんな思いで今生きているか」 誰かの隣人になること示された災害復興支援の集い
「被災地の人がどんな思いで今生きているか」 誰かの隣人になること示された災害復興支援の集い
東日本大震災の年から毎年開かれている大阪市中央区の大阪クリスチャンセンターとモリユリ・ミュージック・ミニストリーズ共催の復興支援の集いが、5月12日に開催された。頻発する災害を思い、今年は「2019災害復興支援の集い~届けよう私たちの心 各地で起こる災害を覚えて」と題して開かれた。後援はハンガーゼロ。司会の森祐理さんは「主よ、なぜですか! そう叫びたい気持ちになるほど、各地で災害が起こっています。今日は共に考え、祈り、御声に耳を傾ける時としたいと願っています」と、呼びかけた。
各地の災害を振り返り、東日本の広大な被災地は復興の進展に格差があり、それが問題になっているとの指摘があった。2017年の九州北部豪雨の被災者は今も仮設住宅に暮らしているが、福岡県朝倉市杷木松末の被災集落は今後、砂防ダムの建設によって帰還が不可能になる地域がある。森さんは「故郷を失う人々の悲しみを思います。被災地の人がどんな思いで今生きているのか、自らにも起こり得ることとして考えてほしいのです」と訴えた。
ハンガーゼロの緊急援助班リーダーの伊東綾さんが、被災地支援活動をレポート。宮城県本吉郡南三陸町で津波が町を押し流す様子を映像で見ると、会場には改めてそのときの恐怖がよみがえった。東北在住の伊東さんは教会関係や団体の連携でその時、その場所にかなった支援を続けることができたと語り、支援の積み重ねの大切さに触れた。
「被災地が次の被災地を応援するというつながりもできています。各地の教会が立ち上がり、連携して、必要な支援の声を上げています。被災地の課題は人材不足。半年、1年たつと、多くの人は遠ざかります。継続支援の必要性、さらに人を育てていくことの大切さを感じています」
「日本の災害リスクは世界でトップクラスです。皆さんも、教会も、備えはできていますか。災害時に必要なのは自助、共助、公助です。私たちは“教助”とも言っています。教会が災害の時に手を差し伸べられるよう準備しなければ。苦しんでいる人々に、私たちの持っている希望が必要なのです」
熊本地震の被災地で活動する九州キリスト災害支援センターのボランティアの様子が流され、「キリストさんの支援は偏っていない。とても心強かった。希望を感じた」という被災者の声が聞かれた。「忘れないでくださいという声も多いです。関心を持ち続けることが、大きな励ましになるのです」。森さんは「心の絆コンサート」コーナーで、被災地で歌ってきた体験の中で絆の大切さに触れ、「大阪でも手と手をつなぐネットワークができたらいいと思います」と、呼びかけた。
大阪クリスチャンセンター理事長の岸本大樹牧師は次のようにメッセージした。「九州キリスト災害支援センターの横田法路牧師から、各地で災害支援センターができているが、大阪も必要があるのではないかという電話がありました。私は阪神淡路大震災で被災した友人の傍で、何も言えず座っていたときのことを思い出します。そして、彼も私の苦しいときにそばにいてくれた。私の心の災害を癒してくれた。人は人で癒されるのです」
「イエス様は、私たちが誰かの隣人になるということはどういうことかを問うておられると思います。これからも災害は起こり続け、困っている人はいっぱいいる。私たちはどういう形で関わり、隣人になるのか。これは神様からの宿題であると思います」
ハンガーゼロではサイクロン被災地のモザンビーク支援のためのチャリティーTシャツ、バッグを販売している。3千400円のTシャツの700円がサイクロン復興支援になる。問い合わせは大阪事務所Tel 072・920・2225。