6月23日号紙面:教会未設置550市町村に福音を インド教会増殖運動リーダー・安氏「カバレッジビジョンセミナー」
教会未設置550市町村に福音を インド教会増殖運動リーダー・安氏「カバレッジビジョンセミナー」
日本には、教会未設置の市町村が550以上ある。「未伝地を福音で覆う」を目標とした、カバレッジビジョンセミナーでは、インドで教会増殖運動を展開する安カンヒ氏(Finishing The Task[FTT]ディレクター)を招いて学ぶとともに、具体的に教会未設置の市町村での取り組みを考えた。6月3〜5日、奈良県生駒市の関西聖書学院、6〜8日高知県枝川コミュニティーセンターで開催。関西聖書学院では約100人が集った。同学院院長の大田裕作氏がレポートする。
カバレッジビジョンセミナーの名称はハバクク書「水が海をおおうように、地は、主の栄光を知ることで満たされる」(2章14節)からとられている。講師の安カンヒ氏は韓国での学生時代、キャンパス・クルセード・フォ
ー・クライストの金ジュンゴン氏に導かれて、その後献身。アメリカに渡り、ジーザスフィルムのスタッフとして映画「ジーザス」を用いてフィリピンの教会増殖に仕え、現在は未伝道部族への宣教を強調するFTTのディレクターとしてインドで活躍中の教会指導者また神学校長だ。安氏の指導の下で現在インドの未伝道コミュニティーに教会が増殖し、その他の教会や宣教団体とも協力しながら、インドのすべての言語部族に働き人を派遣し、教会増殖のうねりが起こっている。
このセミナーの主眼はいかにして未伝のコミュニティーを福音で覆いつくす責任を果たしていけるか、そのインドでの実践の証しを聞きながら、聖書原則に徹底して固着していくべきことが語られ続けた。以下項目ごとに紹介する。
(1)未伝道部族とニッポン
宣教学見地から人口比2%未満の信者しか存在しない国や部族は「未伝部族」と分類される。この2%という数値は、自国民を自力で宣教していけるのか、依然として外部からの援助なしでは宣教が前進しないのか、社会学的に調査考察された分水嶺的な意味合いを持つ。つまり2%を越えれば、社会に与える福音のインパクトがそれ以前とは全く違う局面に入っていくことになる。まず私たちの使命はこの事実を主からの宣教のチャレンジ(要請)としてまっすぐに向き合うことから始まっていく。
関西聖書学院ではこのセミナー開催が決まったときから、6月末に教会未設置町村への訪問伝道を行うと決定した。アジアンアクセス・ジャパン(播義也ナショナルディレクター)からは近畿6県の未伝市町村マップが用意された。意図的に平成大合併以前の地図を使用しており、それによると我が国にはまだ千700以上の教会未設置の旧市町村(合併後は550以上)が残されている。参加者全員は色分けされた地図の未伝地部分の広さ、多さに改めて祖国の現状を認識し、おのずと熱い祈りに導かれていった。
(2)実践の裏付け
安氏の講義のポイントは2点。①イエス様のビジョン:安氏の働きはインドを中心に南アジアの諸国に広がっている。主の宣教命令と黙示録の成就の描写(5、7章)から例外なしのすべての民族・部族・言語への到達を目指している。事実、世界最大の未伝道部族が無数に広がるインドでの驚嘆すべき実績を踏まえての講義であった。
②イエス様の伝道方法:どのようにして未伝の地を福音で覆っていくのかは、徹底してみ言葉の原則に固着して教えられた。すなわちルカの福音書10章の、主が72人を派遣する個所を基本的テキストとして、主が訪ねようとする地域へ弟子が二人ずつ遣わされ、平安を祈りつつ前進すること。その地で出会う平安の子が、その地での働き人(宣教の拠点)となっていくこと。宣教者は外部の人間であって、コミュニティー内部の平安の子が拠点の軸になっていくことなどであった。そのセッションではインドの話ばかりではなく、昨年夏に実践された東北や北海道での未伝地伝道の証しも織り込まれ、よその国の話ではなく、私たちの地元の話として大いに励ましを受けた。
(3)協力の必要
イエス様もパウロも決して個人プレーで働きをされなかった。未伝地への到達のために安氏は成熟した協力の必要を訴えた。長期に滞在する宣教者が地元の教会、また宣教団体と歩調を合わせつつ、未伝のコミュニティーに生まれ始める教会(信徒の家庭)を励まし、その合わされた祈りと力で未伝部族を福音化していくという。
今や世界の宣教団体は最大限の努力と緊急性をもって未伝部族へと接近している。そして未到達の部族が急速に福音を受容し始めている。主が働いておられる。それはとりもなおさず、この国への主の熱心の表れでもある。この国の津々浦々に福音が届き、多くの回心者が生まれ、この国が世界の未伝地に仕えていく役割を期待されている。
(4)教会増殖の機運
カバレッジビジョンのゴールは日本の福音化そして世界の祝福となることが訴えられた。近年日本の教会は教職信徒の高齢化、若者子ども世代の減少、閉鎖や合併などの下向きのニュースが少なくない中、全く新しい喜ばしい機運もうねりを見せている。2014年東京・千代田区のお茶の水クリスチャン・センター(OCC)で第一回目の教会増殖ビジョンフェスタが開かれ、以後毎年奈良、神戸(日本伝道会議の分科会として)、塩釜、名古屋と場所を移しながら、日本各地で主が起こしておられる増殖のうねりの確かさを確認してきた。伝道困難な青森や限界集落の高知で、また自然災害で打撃を受けた宮城や熊本で教会が前進している。この働きでは全国に5万の教会、2%のクリスチャンが与えられるように祈り、目標として標榜している。このビジョンが全国規模で諸教団・グループが小異を超えて、一致して前進できるよう願っている。今年はOCCで7月8、9日に開催される。
本セミナー収録DVDはセット3千円。関西聖書学院事務室まで。TEL0743・70・8600