1989年以降、31年間で震度6の地震59回 日本列島は激しく揺れている 「災害支援セミナー〜その心得と実践〜」セッション1で山田氏

「災害大国」と称される日本で、災害に備え、慌てずに対応し、地域における教会の役割を果たしていくにはどうすればいいのか? 「災害支援セミナー〜その心得と実践〜」のセッション1が7月11日、東京・千代田区神田駿河台のお茶の水クリスチャン・センターで開催された。主催はクラッシュ・ジャパン、ハンガーゼロ、オペレーション・ブレッシング・ジャパン。内容は2回に分けて紹介する。【中田 朗】

セッション1ではクラッシュ・ジャパンが担当し、永井敏夫氏(J.Clay House牧師)が「災害支援に携わる教会」、山田智朗氏(ホーリネス・東大和シャローム教会牧師)が「災害の種類と被害概要」、山尾研一氏(単立・町田聖書キリスト教会牧師)が「教会ネットワークの必要性」を担当した。今回は山田氏の発表から。
山田氏は、災害対策基本法第二条に記されている暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、噴火などを挙げ、災害にはいろいろな種類があるとし、「原子力災害など、自然災害でないものを含めると、私たちが対応しなければならない災害は幅が広い」と言う。また、「礼拝をしている時に大きな地震が起きた場合を想定するが、教会にいない時間のほうが圧倒的に多い。職場、学校、家庭などそれぞれの場所でどう対応するか、想定して考えなければいけない」と語った。
山田氏は、気象庁のデータベースで調べた1923年9月の関東大震災から2019年6月の新潟・山形地震までの約96年間の主な地震、噴火、気象災害(台風・豪雨・豪雪等)、火災などを調べてみると、災害発生の傾向に大きな変化があると指摘する。「96年間で国内で発生した最大震度6以上の地震は71回で、うち88年までの65年間の発生数は12回。ところが、89年から2019年までの約31年間で59回発生しているのを知って驚いた。50、60代の私たちは地震の少ない恵まれた環境に育ってきたが、今は活動期に入っており、日本列島が激しく揺れている」
最近は、立て続けに起こる地震が多いとも指摘。「東日本大震災の時は震度6レベルの余震が4回起きており、その間に長野県北部地震、静岡県東部地震が起きている。熊本地震の時は、本震のあった16年4月16日には千200回以上地震が起きており、ほぼ一日中揺れていた。熊本の人は『揺れていないと、いつ来るかわからないので不安でしょうがない』と話していました」
地震だけでなく、気象災害が増えて来ている点にも注目した。「最近は地震より、集中豪雨、土砂災害、台風被害など気象災害のほうが多く起こっている。今年も九州のほうで大雨があったが、梅雨前線が停滞したためだった。しかし、梅雨前線は昔からあり、『この時期は梅雨だがら』と認識していた。だが、最近の梅雨は暴力的で、大量の雨が一気に降る。特に小さい川の氾濫が多い。また、昨年は猛暑で133人が亡くなったが、猛暑も災害の一つであると認知されるようになった」
さらに、帰宅困難、ブラックアウト、液状化など、災害発生地域から離れた場所でも災害の影響を受けると指摘。「いつ、何が起こるか分からないので、私たちの住んでいる場所がどんな場所かを知り、ハザードマップを調べてあらゆる想定をしながら対処してほしい」と語った。(つづく)