日基教団議長 伝道推進訴え 全国千700の教会が生かされるように 聖霊刷新協議会教職研修会

日本基督教団総会議長が、教団として伝道を推進することを訴えた──。70年代の教団紛争の痛みから再生して「伝道」志向に同教団が正式に舵(かじ)取りしようとする動きへの協力を訴えた。
7月15、16日、兵庫県の日基教団・高砂教会で、日本基督教団聖霊刷新協議会の教職研修会があり、そのテーマは「教団の急激な衰退にどう対処するか!?~2030年問題を控えて~」。
講師の一人として招かれた日基教団総会議長・石橋秀雄氏が、第40・41総会期に、制定・改訂された「教団伝道推進基本方針」の具体化として、7月8日の常議員会で決議されたばかりの展開案にまつわって講演した。他に手束正昭氏(同協議会世話人顧問)、齋藤篤氏(日基教団・深沢教会牧師)が講演した。
聖霊刷新協議会は、日基教団内の「聖霊派」的信仰を標榜(ひょうぼう)する人々の任意団体だが、同協議会が教団の高齢化や教会衰退・消滅の問題をテーマとして取り上げ、その研修会に聖霊派ではない教団総会議長が招かれて、2030年問題を踏まえつつ、「伝道」を推進する呼びかけをしたことになる。
石橋氏は、「右から左まで」共存する教団内において、70年代の教団紛争以降、対話ができず、また「伝道」という語が死語になっていた状況をようやく通過し今回、「左右」両派が同じ議論のテーブルに着くことができて、正式に伝道推進への舵取りがなされつつある旨を語った。
研修会参加者はそれを歓迎的な雰囲気で迎えた。また、今回研修会は例年になく、非聖霊派からの参加も多く(約60人中15人)、広く教団内における「伝道推進」路線への関心の高さを伺わせた。

戦中の反省をも語る

石橋氏は、日基教団の成立の経緯から説くなかで、戦前教団が、国粋主義的「国体思想」の強い影響を受け、仲間(同教団・旧六部、九部)を見捨てるような大変な過ちにまでなってしまったことも語った。
また自ら、素朴にまことの神様、救い主に信頼する信仰を共有する者として、伝道推進への呼びかけを行った。
自身の東神大在学や教職駆け出しの時代に教団紛争の時代となり、教団内は「復活のイエスは信じない。パウロ神学が否定され、贖罪論が否定され、伝道という言葉が死語となった」そんな論調に圧(お)されてしまったと語った。
しかし、今まで黙っていた信徒たちの発言があって近年、状況が変わったという認識を語った。
「教団伝道推進基本方針」は、「1祈祷運動――共に祈ろう、2信徒運動――共に伝えよう、3献金運動――共に献げよう」を柱としたもの。
伝道できる機構改革に向けて、「右左」バランスの取れた8教区の議長を中心に同じテーブルに着いて伝道対策検討会議を設け、教規の変更をも視野に入れた議論を進めると語った。
研修会の参加者からも盛んな応答があった。
取材に応え石橋氏は、「日本基督教団の教会は全国津々浦々に約千700。地方部に、その地域で一つしかない教会も多い。そこが無くなることにでもなれば、天の門がなくなってしまう。そうならないよう、主の恵みにあずかって、教団全体が変革されたいと祈っている」と答えた。
【三浦三千春】