ZOOM礼拝に参加した教会メンバー

 東京都と埼玉、神奈川、千葉、山梨の近隣4県の知事が3月26日、合同で「外出自粛」要請したことを受け、29日の日曜礼拝から、教会堂で行ってきた礼拝を休止し、ネット礼拝に切り替える教会が急増した。そんな中、東京・江東区豊洲で礼拝を行っているグレースハーバーチャーチ(青柳聖真牧師)は3月8日からオンラインツールZOOM(以下ズーム)で礼拝を持っている。

 録画された3月29日のズーム礼拝の様子を見た。当日のログインは70、80人ほど。礼拝前、教会員が順番に画面に登場し、手を振って元気な姿を見せていた。出張で数か月前に米カリフォルニア州サンフランシスコのシリコンバレーに渡り、現在、ロックダウン(都市閉鎖)の中にある夫婦も参加していた。
 礼拝は賛美で始まり、子どものためのオンライン紙芝居「こどもシアター」へと続く。今朝の御言葉ピリピ人への手紙1、2章から牢屋の中でのパウロとシラスの物語を紙芝居で伝えた。
 メッセージは、「自分を失う中で」と題して、青柳牧師が語った。「パウロは牢獄の中ですべてを失っていたが、主にあって喜んでいた。目に見える現実よりも目に見えない喜びをもっていた。私たちは一緒に集まれない状況にあるが、主にあって喜びましょう」と、現状を踏まえつつネットを通じて信徒を励ました。
 その後、祈りの時をもち、「ブレイクアウトセッション」という機能を使い、4、5人に分かれて分かち合いの時をもった。シェルター・イン・プレイス(屋内退避)から12日目というサンフランシスコ出張中の夫婦は「クリスチャンにとってのシェルター・イン・プレイスはウィズ・ガッド(神様と共に)。閉ざされた空間が神様との濃密な時間に変わっていった」と証しした。メッセージを聞くだけでなく賛美、祈り、分かち合いといった双方向の交わりがネット上で共有されていた。
 オンライン礼拝を始めたのは、安倍首相の全校一斉休校の要請があった直後の3月1日から。それまではマスク、消毒を徹底し、「体調の悪い方は来ないでください」と言って、通常の場所で礼拝を行っていたが、1日はフェイスブックでの動画配信、8日からは交わりできる体制にしていこうということでズームを開始したと話す。
 「ズームは、基本的にうちの教会に集っている人たちのためのツール。メッセージもインタラクティブ(双方向)を意識している。礼拝前に『みなさん元気ですか。元気な人はグーサインを出してください』と言ったりし、カジュアルトークから始める。画面越しに見て終わる礼拝でなく、互いのつながりを重視し、くつろいだ雰囲気で教会員同士の近さというのを経験できるよう目指している。『先が見えない、いろんな変化がある中で、これを始めたいと思った』と、普段の礼拝ではしないコメントを入れたりする。礼拝後、ネット上で4、5人に分かれて分かち合うなど、双方向を重視して使っています」
 青柳氏は「6か月続いてもいいツールにしたい」と願っている。「長期戦になりそうなので、イースター、復活節も含め6か月経っても教会員同士の交わりを深めていける礼拝経験にしたい。互いに意見や感想を言い、一緒に祈れるのが教会の魅力。コロナ治療に関わる医者の教会員にも、病院からログインしてもらって、状況と祈りの課題を聞き共に祈り合うこともした。ズームを使っての家庭訪問も始めました」
 「ズームは使い勝手がいい。いろんな教会で使ってほしい」。青柳さんはそう願っている。