公共性とその課題についての全体像は齋藤純一著『公共性』(岩波書店、2000)が参考になる。公共には①国家に関係する公的なもの(official)、②すべての人びとに関係する共通のもの(common)、③誰に対しても開かれているもの(open)、の三つの側面があると指摘する。

 公共空間は開かれた場ではあるが、排除と周辺化の力も働く。人種、国籍が異なる人々など、マイノリティーの排除だ。また公共空間での対話には、文化における支配的な規範の理解、合理的な態度が求められる。齋藤氏は、マイノリティーが、家族的な「親密圏」において自分たち自身の言説空間を創出し、公共圏に問うことを勧める。共通の規範、言語がないならば「価値観を異にする他者に対して訴えの言語、説得の言語をもって向き合うというよりもむしろ、別様の暮らし方の提示、別様のパフォーマンスの提示、別様の作品の提示」をする方法がある。ここに芸術がかかわる。、、、、、、

2020年5月31日号掲載記事