今回のコロナ禍に際し、社会福祉法人ミッションからしだねでは、医療機関にマスクを贈ろうという取り組みを始めました。

 たまたま、障害者の就労支援で行っている作業の中で、和装小物で有名なコーリン株式会社さんのクリップの組み立てをしていたのですが、そのクリップを使って、手軽に手作りマスクが作れることがわかりました。そこで、これを交換品にして、家庭や事業所からキチンとした使い捨てマスクを提供してもらい、それを医療現場に贈ろう、というアイデアです。

 現在、マスクは、一般でも不足ぎみです。でも、医療現場はもっと深刻だと聞いています。私たちはさっそく、からしだね館の機関誌で臨時特集号を発行し、「マスクプロジェクト」と称して、この取り組みを紹介、各方面に協力を呼びかけました。ネットやSNSなどでも発信しました。4月半ばのことです。

 皆さんの反応は良く、わずか1週間で目標の千枚を超えましたので、まずは一か所、発熱外来を開設している、京都市内の中核病院にお届けしました。マスクはもちろん、ガウンの代わりになるかもしれないと送られてきた雨合羽もありました。送り主のメッセージカードもお届けしたのですが、たいへん喜ばれました。

 一つのエピソードをご紹介したいと思います。Mさんという80代の女性が、からしだね館を訪ねて来られました。長年ボランティアで地域のために活動してこられた、私たちもよく知っている方です。マスクプロジェクトのことを聞いたので、と。ところが、私たちの顔を見るや、「えーっと、マスクを持ってくるのを忘れた」とおっしゃるのです。いろいろ聞いてみると、出かける直前まで準備していたのに、うっかり忘れてしまったとのこと。雨の降る中、わざわざ歩いて来てくださったのでした。そこで職員が、車でMさんをお宅まで送りがてら、忘れ物のマスクをいただきに行くことにしました。しばらくして、帰って来た職員がこう言うのです。、、、、、、

2020年5月31日号掲載記事