九州南部を襲った豪雨で甚大な被害を受けている熊本県人吉市。ＮＰО法人九州キリスト災害支援センター（九キ災、横田法路理事長）は７月10日、浸水被害に遭った人吉バイブル・プロテスタント基督教会（森下薫牧師）と教会員宅のボランティア支援活動を開始。横田理事長と竹崎光則副理事が市内にある被災教会を訪問し、教会や教会員、地域の被害状況の把握と、九キ災が今後どう支援していくかを検討。雑巾作りプロジェクト、写真洗浄プロジェクトも始まった。14日には九キ災主催による「令和２年豪雨災害情報共有支援会議」が行われた。 【中田　朗】

以下は、九キ災のフェイスブックにアップされた市来雅伸本部長の報告より抜粋。

７月10日は、スタッフを含めボランティアは12人で、人吉バイブル・プロテスタント基督教会の会堂、幼稚園、牧師館３か所と、教会員宅を支援。家財仕分けと搬出、会堂の長椅子移動とカーペットはがし、床下チェック、幼稚園内の本などの整理、高圧洗浄作業を行った。今回の災害に対し、迅速に動いてくださっている関係教会、熊本のネットワークを通じた協力体制の中で、七つの教会からボランティアが集まってくださった。教会隣接のお宅も浸水被害があり、重い物を搬出する際は単発でサポートさせていただいた。
13日は、スタッフ２人で、会堂の壁はがしと床ボードはがし作業を実施。「カビの繁殖を抑える為にも１日でも早く乾燥できる環境を整えることが必要なため、丸ノコを使って作業した。一日で壁はすべてはがすことができた」
15日は、スタッフを含めボランティアは13人で、引き続き会堂内の床はがし作業、家財仕分け、搬出作業を行った。一件の現場は１㌧ゲートトラックが満載になるほどの家財などがあり、すべてのものが一瞬で水につかってしまったとのこと。ボランティアで仕分け作業をし、集積場所まで運び、概ね搬出作業を終えた。　また、人吉社会福祉協議会を訪問し、団体活動登録を行い無事認可された。今後は社協とも情報共有し連携していく。

雑巾作りプロジェクト
７月10日、益城町にある熊本ベースで毎週金曜日開かれている「きなっせカフェ」で、クラフトや手芸を楽しんでいる益城町の住民と、地域教会のボランティアと一緒に、古タオルで雑巾を作って人吉の被災地に届ける雑巾作りプロジェクトを開始。熊本地震で被災し、今までたくさんの支援を受けてきた人たちが、今度は自分たちがその恩返しをする時だと、みな張り切って作ってくださっている。14日には作った雑巾を被災地に届けてもらった。片付けや掃除に活用していただけたら幸いだ。

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写真洗浄プロジェクト
人吉バイブル・プロテスタント基督教会は宣教師が開拓した60年以上もの歴史があり、その思い出の多くが写真に収められていたが、今回の水害でほとんど水につかってしまった。その大切な思い出一つ一つを残せればと７月13日、熊本の教会のネットワーク「熊本チャーチネットワーク」のボランティアにより写真の洗浄が始まった。東日本大震災や西日本豪雨災害でも活動した資料を参考にしながらの初めての試みだが、ボランティアの人たちは思い出の写真を少しでも持ち主に返すことができることを祈りつつ、丁寧に作業をしてくださった。この取り組みについて、森下牧師や教会員のメンバーに伝えたところ、「諦めていた写真を捨てなくて本当に良かった。まるで夢みたいだ」と、涙を流して喜んでくださった。被災地に行けなくてもできる小さなことがある。その思い一つ一つをつなげていくことも私たちのできることだと感じた。
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情報共有支援会議では、被災教会を訪問してきた横田氏が、葦北郡芦北町のイエス栄光芦北教会の現状を報告。「教会前のアスファルトの道路が陥没していた。上のほうから土砂が流れ、木がさえぎる形になったが、陥没した部分に土砂が流れ込むことで、教会のほうには被害が少なかった。この教会では教会員宅が８世帯浸水被害に遭った。今、これらの家では、住むところを確保するために、泥出し、床はがしなどをしている。九キ災としては、早い段階でスタッフを派遣し、働きをサポートしたい」と報告した。

その他、荒尾市の有明バイブルチャーチ、福岡県大牟田市の大牟田めぐみ教会の信徒宅に床上浸水があり、教会のメンバーと諸藤栄一熊本ベースディレクターが支援に当たっているとの報告や、島根県や岐阜県の被災状況なども分かち合われた。
現在、ボランティアの受付は、「県外参加者の事故発生について保険適用の範囲外である」との現地社協からの情報を受け、熊本県内のみに限定している。支援に対する問い合わせはL０９２・８７３・６２３５、九キ災本部まで。フェイスブックUEL https://www.facebook.com/kumamotoshien