困窮孤立問題で教会に求められるもの “分断”の根が信仰理解に

左から谷本氏、森松氏、奥田氏

コロナ禍による経済危機で、新たな失業者、困窮者、孤立者の増加が懸念される。「ステイホーム」ができないホームレスの人々への支援も急務だ。日本バプテスト連盟ホームレス支援特別委員会は、オンライン特別シンポジウム「コロナ禍に於ける困窮孤立問題の中の教会~今、教会に求められているもの~」を7月9日、Youtubeで配信した。
NPO法人抱樸専務理事の森松長生さん(東八幡キリスト教会協働牧師)が「困窮・孤立問題と教会の信仰告白」の題で講演。後半は奥田知志さん(東八幡キリスト教会牧師、NPO法人 抱樸 理事長)との対談を、谷本仰さん(南小倉バプテスト教会牧師、NPO法人 抱樸 副理事長)がコーディネートした。【高橋良知】
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「なぜ教会がホームレス救援にかかわれないのか。その根本は様々な分断だ」と森松さんは指摘する。「人と人、家族と家族、民族と民族、国と国、人と自然、人と神…すべての分断の結果、最終的に一人の人間を孤立させ、いのちと尊厳を奪ってしまう」。これらの分断が教会の中にも存在しているというのが、森松さんの主張した内容だ。
ヨハネ3章16節、ローマ8章28節などの聖書解釈に、教会と世を分断して解釈する傾向があったことを指摘。信仰告白の内容や主の晩餐式の在り方も具体例を挙げて問い直した。「まず自らの信仰告白を問いたい。教会は常に、救いを授ける側、赦す側に身を置き、教会外の人々を救われねばならない人、赦されていない者として分断してこなかったか。すでにすべての人はイエス・キリストの十字架によってつなぎ合わされている。それゆえ神と人との分断は終わった。伝道とは、罪人と共に歩まれたイエスの道を共に生き、困窮・孤立した人々と共に生きることを、教会の本分とすることではないか。教会の本分は救われていない魂の救済ではなく、救われたものとして、イエスの生き方に応答して生きることではないか」と問いかけた。
奥田さんは「神はすべての人を愛された。そこには何の差別もない。その上で世の中と教会は何が違うか。、、、、、

2020年7月26日号掲載記事