「疫病に向き合うキリスト教」 「百万人の福音」7月号

「百万人の福音」7月号が、「疫病に向き合うキリスト教」を特集している。冒頭に掲載された「疫病とキリスト教の歴史」では、旧約聖書の記事から始め、記録の残る紀元前ギリシャでの感染症から、2000年以降のものまでを概観し、感染症が人類の歴史に与えた影響の大きさ、場合によっては感染症が歴史の道筋を付けてきたことを教えている。
キリスト教の歴史で言えば、ローマ帝国における国教化以前(迫害下)では、感染症が罹患者に対してクリスチャンが愛を示す機会となり、その教えが人々の好意を得ていったのに対し、中世においては、制度化された教会の儀式や聖礼典が感染症に対して何の効果も発揮しなかった事実や、聖職者がいち早く逃亡する姿が、キリスト教の宗教的権威を失墜させ、後のルネッサンス、キリスト教会においては宗教改革を成功させる要因にもなったという記述は興味深い。最後に記者は「異常な状況の中でキリスト者が愛の名の下で人々を助けたこともあれば、他者を排撃したこともあった。両者はいったい何が違ったのだろうか」と問いかけている。

「百万人の福音」7月号