有限の地球脅かす人間の活動 環境と教会を考える④ “創造の季節”を生活に

温暖化への警告浸透まだ
有野洋輔さん(地球環境戦略研究機関 戦略的定量分析センター研究員)

聖書と祈りを土台に、環境問題への警鐘を鳴らす全世界規模のキャンペーン「創造の季節」(Season of Creation、https://seasonofcreation.org/)が9月1日から10月4日まで実施される。環境意識や持続可能性のテーマに日本の教会でどのように取り組めるか。連載で考える。
今回と次回は、(公財)地球環境戦略研究機関(IGES)戦略的定量分析センター研究員の有野洋輔さんが、志学会オンライン講演会(5月25日)で「気候変動する地球に生きる者として―科学と政策の狭間で―」と題して語った内容から紹介する。志学会は若手のクリスチャンの研究者らを励ます任意団体。
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静岡県沼津市出身。幼いころから教会に通い、15歳で受洗した。高校時代は教師から地域の自然や環境保護の話を関心をもって聞いた。慶応大学では経済について学ぼうとしていたが、入学後に起きた2001年の9・11米同時多発テロに衝撃を受け、背景にある南北格差や貧困など、グローバル化の負の遺産に目が向いた。「21世紀の地球・世界は、どこに向かっていくのか」という問いの中で、環境と経済を統合する環境経済学と出会った。
経済学、制度学からスタートし、工学的手法を用いた分野横断的な学際研究に広がり、市民や政策担当者とのかかわりまでを含めた「超学際研究」に展開している。現在勤務するIGESは、環境省やアジアの政府機関の資金で運営され、アジア太平洋地域における持続可能な開発の実現に向けた革新的かつ実践的な政策研究を行う。
「大学院時代は暗く、つらい時代だった」と振り返る。研究がうまくいかない苦しさ、心と体の限界を感じた。一度は研究を断念して中高一貫校の教師になった時期もあった。「原因不明の悩みに苦しむ者」と博士論文に記したほどだ。しかしそのような状況の中、指導教授と慶應福音キリスト者学生会の顧問に励まされた。この時期を支えたのはダニエル書10章19節の「恐れるな」の言葉だった。
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人間が暮らしているのは地球全体から見れば、「薄い表面」の生物圏。そこには大気、水、生命、大地がある。大気には、対流圏、成層圏など、いくつもの層になっている。有野さんは「天も、天の天も、あなたを お入れすることはできません」(Ⅰ列王記8章27節)という聖書の言葉を連想している。「『ウェストミンスター小教理問答』問4にもあるように、神は無限で、宇宙は有限です」
このような有限の大気が人間の活動で温暖化し、その弊害が様々な気象災害に表れ始めている。4月の世界気象機関の報告によると、過去50年で世界の平均気温が0・86℃上昇している、、、、、、

2020年8月9日号掲載記事