愛から生まれた小型焼却炉 超低公害「チリメーサー」コロナ禍の病院や離島僻地で大活躍

チリメーサーの前で。福富社長(向かって左)と営業課主任の織茂誉士夫さん

超低公害の小型焼却炉「チリメーサー」の製造販売を行っている株式会社トマス技術研究所(うるま市・福富健仁社長)が開発した「メディカルチリメーサー」が、コロナ禍にあるインドネシアの病院で大活躍している。医療廃棄物に手で触れることなく処分できるため、感染リスクを軽減する画期的な焼却炉だと注目を集めている。
チリメーサーは、煙を出さない、超低ダイオキシン、さらに小型トラックで運べて公共機関への届け出も不要という、焼却炉の概念を変えた製品だ。
社名は福富社長自身のクリスチャンネームから。社是・社訓は「信・望・愛」。2003年に会社設立以来、国や諸団体から環境への貢献が認められ複数回表彰されている。昨年のG20大阪サミットでも紹介された。
何より福富さんが実現したかったのが離島僻地(へきち)でのゴミの安全で安価な処分だ。これまで島外に運ばなくてはならなかった農水産業の廃棄物や、海岸の漂着ゴミが、チリメーサーを使えば現地で燃やせる。100㎏のゴミが2時間で焼却でき、コストは従来の十分の一ですむ。現在、県内外の離島でチリメーサーが稼働している。
福富さんは奄美大島の出身。子どもの頃、鹿児島本土に行ったとき「都会ってこんなに違うのか」と、悔しさでいっぱいになった。離島の暮らしは本土に比べて経済も生活面でも格差があり、不便を強いられる。
「離島の出身だからこそできることがある。離島僻地の暮らしに技術を通して役に立ちたい。それが自分の生きる道です」
チリメーサーのシリーズは中型、小型、多種あって、焼却熱を給湯設備の熱源にする製品など、ゴミは新たなエネルギーであることを立証するようなアイデアが「天から降りてくる」という。
「旧約の神殿の技術者やノアも、そうだったと思うんです」
「神の召し=ベルーフ」が座右の銘。32年前、パウロのようなキリストとの出会いがあった。迫害者からキリスト者へ変えられて以来、神に与えられた技術を「神の栄光と人類の救い」のために駆使している。