朗読劇で綴る 渡嘉敷島「強制集団死」 沖縄の悲しみと希望を語るDVD 沖縄バプテスト連盟・平和社会委員会「平和合同礼拝」 反響呼び希望者に配布

沖縄バプテスト連盟(OBC)宣教部・平和社会委員会主催の「第10回平和合同礼拝『沖縄、ちむぐりさぬ日』を覚えて」が、10月に動画配信されて大きな反響を呼んだ。沖縄戦の戦場体験をもとにした朗読劇やメッセージ、賛美によって平和を呼び掛けるとともに、75年を経た今も「戦後とは呼べない」現実を抱える沖縄の歴史を伝える内容で、配信後はDVDに収録して、希望者に配布している。

DVDの1シーン

平和合同礼拝は6月23日の「沖縄慰霊の日」に予定されていたが、新型コロナウィルス感染拡大で中止になったため、「『戦後』75年、OBC平和社会委員会特別企画」として発案されたもの。沖縄バプテスト連盟教育部女性会役員会、三バプテスト女性会研修会沖縄実行委員会が協力した。
朗読劇は「語り継ぐ沖縄戦〜渡嘉敷島『強制集団死』から生かされて〜」と題した、日本基督教団牧師の金城重明さんの戦争体験をもとにしたもの。金城牧師は1945年3月、米軍が上陸した渡嘉敷島で起こった「強制集団死」で生き残った一人。渡嘉敷島は住民約700人のほぼ半数が亡くなった島だ。
「私は家族を殺しました。思い出したくもありません。でも、忘れてはいけない」
朗読劇は当時16歳の金城さんと兄のことばで、戦場の地獄を語る。人々は日本軍から「生きて虜囚のはずかしめを受けぬ」ために使うよう渡されていた手りゅう弾でも死にきれず、石や木片や縄で家族を殺していった。
「早く殺してあげて!アメリカ軍が来る前に」。
金城さんも母、父、弟妹に手を掛けていった。「おかあが泣いてる。ああ、殺したくないのに」

DVD

最後に死のうとしたとき一人の少年に「どうせならアメリカ兵を一人でも殺して死のう」と誘われる。歩いていると、戦ってくれていると思っていた日本軍が捕虜になって生きているとわかった。
「日本兵への不信感と、裏切られたという怒りと絶望が、腹の底から込み上げてきた。私たちは家族をみんな殺してしまった。いったい何だったんだ!」
捕虜になって生き残った金城牧師は、人生に何の希望も持てず、いつ死のうかと考える日々を送っていた。そんな中でキリストと出会う。
「キリストの十字架が、生き残ってしまった私の心の痛みに寄り添うものとして示されたのです。私は人生を前向きにとらえられるようになりました。強制集団死から生かされた私にとって、平和を実現することは、残る生涯の最大の課題です」
この金城牧師の体験を、8人の牧師、信徒で読み継いでいく。戦場が目の前に展開されるかのような臨場感あふれる朗読は心に迫る。
普天間バプテスト教会牧師で平和社会委員会長の神谷武宏さんのメッセージ「『命(ぬち)どぅ宝』平和をつくり出す者へ」は、基地建設工事が進む辺野古の海岸と、普天間飛行場を望む宜野湾市の高台、糸満市の平和記念公園の「平和の礎(いしじ)」の前で、マタイ5章9節、詩編62編11〜13節から語られる。
「私たちの社会はいつまで暴力に依存し、暴力を肯定し続けるのでしょう。戦争の悲劇、むごさの歴史を忘れず、戦争で亡くなった命を無にすることなく、体験者の苦しみ悲しみを語り継ぐことは、平和への道、キリストへの道に向かうことになります。『命どぅ宝』の沖縄から平和を発信していきましょう」
神谷牧師は「DVDを通して、多くの人と平和への思いを共有したい。特に若い人たちに知ってほしい」と願っている。DVDは無料だが「献金というかたちで支援していただけたら」という。連絡は那覇バプテスト教会Tel098・944・5331(宮城さん)。