過去から貫く精神と超越 水俣に学び風化にあらがう FCC・放射能問題学習会で川上氏

東日本大震災から10年を目前として、過去と現在をつなげるテーマが焦点になった。福島県キリスト教連絡会(FCC)放射能対策室第36回放射能問題学習会がオンラインで11月13日、開催された。東北ヘルプ事務局長の川上直哉氏(日基教団・石巻栄光教会牧師)が様々な論文や書籍を紹介しながら「水俣の事例から風化に抗う」と題して語った。
最初に、学問としての歴史を位置付けたイタリアの哲学者ジャンバッティスタ・ヴィーコを紹介し、「古代と現代までを貫く精神に注目し、『古代の風化』をさせないための工夫をした」と説明した。
「今、10年がたち、東日本大震災が過去の事柄となっている。忘れてしまう人を責めてもしょうがない。現在も災害は続発している。新しい現場で福島は新しい意味をもってくるだろう。その意味で水俣の公害を見れば現在が見えてくると思い、資料を用意しました」
一方、過去と現在をつなぐ上での「手ごわい問題」としてエートスプロジェクト(以下エートス)の例を挙げた。エートスは、チェルノブイリ原発事故後に放射能被害に見舞われたベラルーシでの回復プログラム。住民がかかわり「現実的な放射能との共生」を模索した。原子力災害の矮小化をもたらすという強い批判が向けられてきた。福島でもそれに触発された活動が展開され、その経緯が『海を撃つ 福島・広島・ベラルーシにて』(安東量子著、みすず書房、2019)にまとめられた。川上氏が言う手ごわさとは「著者は広島出身で、福島に暮らす。現在の問題から、広島の被曝、ベラルーシといった過去の問題を接続させている」点だった。
水俣の精神風土についての調査論文を踏まえ、、、、、、

2021年1月3・10日号掲載記事