講演Ⅱ「児童虐待と家庭形成」松坂氏 子どもの意思を尊重してきたか 第23回断食祈祷聖会2021③

「断食祈祷聖会2021」(同実行委員会主催)が1月11、12日に開催。今年はコロナ禍のためオンラインで開かれ、「開拓伝道」、「児童虐待と家庭形成」、「海外宣教」、「ラディカル・リベラリズム」の四つの講演が行われた。

前回はこちら↓

初日の講演Ⅱでは、結婚家族学博士でもある松坂政広氏(単立・上野の森キリスト教会副牧師)が「児童虐待と家庭形成」をテーマに講演した。
◇  ◆  ◇
最初に児童虐待の種類について挙げ、説明した。
①身体的なもの=殴る、蹴る、たたく、はげしく揺さぶる、やけどを負わせるなど、②育児養育放棄(ネグレクト)=家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置するなど、③性的なもの=子どもとの性的行為、性器をさわる・さわらせるなど、④心理的なもの=言葉による脅かし、無視、兄弟間での差別的扱い、など。松坂氏は「児童虐待防止法ができて20年経ったが、この20年で9倍に増え、19万件を超えた。うち半数以上が心理的虐待で、4分の1が身体的虐待。虐待を受けている子どもの4割強が未就学児(0~6歳)、3割強が小学生。私たちの手の届くところにいる子どもの叫びと、子どもを虐待してしまう側の叫びに敏感でありたい」と話す。
「このテーマに関して、どれほどの関心をもって隣人と接しているか、が問われる」とも言う。「DV(ドメスティックバイオレンス)は対話を拒否し、自分たちの主義主張を絶対視し、相手の考え、立場を認めない。何が暴力を引き起こしたのか、暴力を通して何を表現しようとしたのかを知り、理解することが問われているような気がする」
子どもの親に対する暴力についても触れた。「子どもの暴力は、親の生き方が、この家がおかしいというサイン。その一つは、親が子どもの意思を尊重しないこと。二つ目は、思いを言葉で表現することを妨げていること。三つ目は、子どもが親に愛されていると実感できないこと。四つ目は、平和を愛することが子どもの心に刻まれていないこと。これらは互いの意思を尊重し、対話をするよう神の形につくられた人間が見失ってしまったものではないか。私たちはどれほど時間がかかっても、暴力が暴力を生み出す連鎖を断ち切らなければならない」

(この後、「子どもを尊重する」とはどういうことかが語られます。2021年2月14日号掲載記事