新学期特集 神の恵みの良き管理者として

それぞれが賜物を受けているのですから、神の様々な恵みの良い管理者として、その賜物を用いて互いに仕え合いなさい。(ペテロの手紙第一4章10節)

本来ならば、新学期の季節を迎えるに当たり、希望に満ちた励ましの言葉をみなさんに贈りたいところですが、今、私たちが置かれている状況はそれどころでないほどに深刻です。
昨年来、全世界に蔓延(まんえん)しているコロナ禍は私たちのライフスタイルをも考えも及ばない方向へ変えて行こうとしています。
さて、“新しいことを始めるなら老いることはない”と言ったのは、ユダヤ人思想家のマルチン・ブーバーです。たとえ、老境に入ったと言われようとも、新しい何かに取り組むことを始めるなら、確かにその人の生活は活力を取り戻し、生きている実感を手にすることが出来るのかもしれません。
しかし、今は、新しいことに一歩踏み出すこと自体ができない状態が続いています。では、どうすればよいのでしょうか。
標題に掲げた御言葉は、紀元60年頃、暴君ネロがローマ帝国を支配し、その時代に台頭してきたキリスト教へ迫害を加えていた時期に、使徒ペテロが書いた手紙の一節です。言い換えれば、キリスト教徒にとって未曽有の苦難のただなかに書かれた文章なのです。しかし、この励ましの言葉には慌てふためいた様子が全くありません。それどころか、混迷する世に、足をしっかりと大地につけ自らに与えられた神の恵みを無駄にすることなく、神が喜ばれるようにそれを管理しなさい、と勧めているのです。“管理”(マネジメント)という言葉が聖書に出てくるのも驚きですね。
私自身、行動(ドゥーイング)が出来ない代わりに、自らの存在(ビーイング)について深く考え、親しい主との交わりができるようになりました。そのきっかけは、母教会の早天祈祷会に毎朝6時からオンラインで参加できるようになったことがあります。そこで、御言葉に耳を傾け感想を互いに分かち合い、共に祈り合うという恵みに与ることができたのです。
ペテロは、この御言葉の中で、“与えられた賜物を用いて、他人の幸せのために祈り、行動しなさい”と勧めているように思えます。それは、新しいことを始めるに当たっても、自分の思い通りにそれをするのでなく、まず、偉大なるマネージャーであられる聖霊に導きを求めることから始める——それこそが、神の恵みの良き管理者としての姿だと言うのです。【守部喜雅】