ミャンマー・ハッカYMCA総主事が国軍に拘束 世界から連帯の祈り

クーデターで政権を掌握した国軍と、それに抗議する市民の間で衝突が激しくなるミャンマー。同国西北部チン州の州都ハッカ市にあるハッカYMCA総主事のロニー・ライアン氏が2月10日、国軍に拘束された。昨年の総選挙で、同市の選挙管理委員会委員長を務めたことが理由とされる。国軍はアウンサンスーチー氏らNLD(国民民主連盟)が圧勝した昨年の総選挙を不正とみなし、2月1日クーデターを挙行した。

アジア・太平洋YMCA(APAY)はクーデター発生以降、フェイスブックなどで状況を伝えた。19日には、ミャンマーに連帯する緊急祈祷会をオンラインで開催した。

祈祷会では、APAY総主事で韓国出身のナム・ブー・ワン氏は、「自国の軍事政権を思い出した」と心情を述べた。ミャンマーYMCA同盟総主事のモン・モン・ウィン氏は、ライアン氏の逮捕の状況を報告した。ライアン氏は、20年以上YMCAに勤務し、世界教会協議会のミャンマーからの代表。ハッカ市民の信望が厚く、選管委員長に任命された。「未来を失った」と語るミャンマーの若者たちの声も紹介した。

世界YMCA同盟総主事のカルロス・サンヴィー事務局長も連帯のメッセージで「私はロニー、私たちはロニー、イエス・キリストはロニー」と共感の思いを示した。貧しい人、処分された人、抑圧された人、人種・宗教・民族マイノリティーの味方になったことによって「私たちは牢獄にいる」が、「誰も私たちを止めることができない。なぜなら私たちは神が創造されたものであるから」と宣言した。

参加者たちは「主の祈り」の節間にメッセージをはさみながら祈りを連ねた。
世界YMCA同盟とAPAYは、それぞれ2月5日に、ミャンマーの民主主義の回復と平和のために声明を発表。APAYは3日にも国軍のクーデターへの懸念を表明していた。ミャンマーYMCAは70年の歴史があり、17の拠点で約12万人にサービスを提供している。

世界YMCA同盟では、活動方針の一つに「若者が力や権力によって抑圧されることに抵抗し、彼らの声によって社会を変えられるように共に働く」を掲げている。【高橋良知】