テクノロジー、政治、信仰軸にディスカッション SNSの影響力に向き合う責任 FaithTechグローバルオンラインミートアップ

世界的なITクリスチャンコミュニティ FaithTechによる、グローバルオンラインミートアップが2月に行われた=写真下=。今回は「テクノロジー(ビッグテック)」「政治」「信仰」という三つの軸でゲストを招いてパネルディスカッションが行われた。
グローバルオンラインミートアップはFaithTechが定期的に開催しているイベントで、今回は教会向けの仮想現実空間サービスAltarliveを使い、活発な意見交換が行われた。「政治」というテーマが選ばれた背景にも、今年1月に米国大統領がTwitterのアカウントを凍結され、その後右翼思想の強いSNSの使用による民衆の暴徒化という出来事を見れば、ビッグテック(巨大IT企業)による影響が大きい。
パネリストの一人、カナダTwitter社のポール・バーンズ氏は「これまで、意思決定がインターネット上で行われる前のルールは無かったが、この出来事を機にプラットフォームとしての人々の捉え方が大きく変わろうとしている」と話す。誰もが情報を発信できる時代にこそ、新聞社がジャーナリズムを発揮して、正しい情報を提供し続ける役割があるとも語った。
新型コロナウイルスによる影響で、世界各地の教会で対面で集まることが難しくなったことをきっかけに、テクノロジーが教会の世界にも受け入れられつつあり、このコロナ禍での1年でキリスト教会でのテクノロジーの発展についても話し合われた。フランス、パリの教会ではすでにプラットフォームを使い、教会と地元の人々を結びつけ、お互いの祈りやクリスチャン同士の結びつきが強固に行われ、コミュニティーを形成し続けているという。
一方、「クリスチャンは時にソーシャルメディア上で最悪の弁護者にもなりうるということもある」と語られると、今後多くの人々が暴徒化した1月の米国議会占拠のような出来事をなくしていくために、どうソーシャルメディアと向き合っていかねばならないか、クリスチャン一人ひとりがよく考え、聖書的にツールを使っていかなければならないとの意見でパネルディカッションは締めくくられた。
終了後にはそれぞれ仮想現実空間でのテーブルが用意されており、各人が活発に議論を交わした。
タイから参加した男性は自国の政治的状況と照らし合わせ、信者の少ない国でもキリストの香りを感じつつ、知恵ある者としてソーシャルメディアを使っていく使命を感じたと話していた。
日本では非常に語られることの少ないテーマだが、コロナ禍の中でしかできないソーシャルメディアの活用の仕方などを知ることができ、非常に有意義な時間だった。何よりオンライン上のソーシャルな働きを、いかにローカルなコミュニティーに落とし込み、より精神的に密な関係に感じられるか。キリスト者として意見の合わない他者とどう向き合ってゆくのか、それが今後の鍵になると感じさせられた。
ソーシャルメディアなどのビッグテックの結びつきと、信仰、政治観など、もっと活発に議論されて良い分野だと感じた。(レポート・中村恵久=Calm代表、FaithTech Japan代表)