神に信頼してリスクを負う 30年ぶりの株価高値と詩篇35篇  信仰の目で金融投資を考える(下)高橋秀典

コロナウイルス感染拡大後の株価上昇という経済状況の中で、具体的行動の前に、信仰者はいかに考えるべきか。10年間の証券会社勤務を経て、立川福音自由教会の牧師を務める高橋秀典氏は、前回、「新しいビジネスは、リスクを取ってそれを支える投資家がいた」ことを指摘し、世界標準で安全な投資対象となっている日本株の外国人保有率が高くなっている状況を概観した。寄稿の後半を掲載する。

それにしても、昔、証券会社で株式投資を勧めていたことがある者として、あまり株式投資をバカにしてほしくはないという気持ちが筆者にはあります。

今もたまに、「クリスチャンが株式投資をしても良いのですか?」という質問をいただくことがあります。それに対して筆者はしばしば、「ゆうちょ銀行にお金を預けるより、ずっと信仰的な決断だと思いますよ」と答えてしまいます。なぜなら、同行に預けられたお金はかなりの部分が、国債の購入を通して日本の財政赤字の補填(ほてん)に回るからです。現政権を批判しながら、お金の使い方をすべて、政権にお任せするという途方もない矛盾に多くの人は気づいていません。

それをするぐらいなら、コロナ禍で疲弊している文化活動や業種に、明確な契約関係で先行投資する道もあることでしょう。小さなことでは、応援したいレストランの食券をまとめて買うことだってできます。また前回述べたように、応援したい会社の株を買うこともできます。市場経済におけるお金の使い方、預け方は、選挙の投票にまさって、自分の意思を社会全体に反映させる有効な手段になります。それこそ、リスクを取るに値する行動です。

ただこれは、牧師である私が、株式投資を推奨するという意味では決してありません。株式市場はトランプのババ抜きに似ている面がありますから、個人投資家が株式投資に目覚めて、素人までが株を買い出す・・という状況になって初めて、株価が天井を打つという過去の経験則があります。ですから、多くの人々が、現在の株高を異常と見ているうちは、株が上がり続ける可能性が高いのかとも思われます(これはあくまでも一般論です)。

米国のGAFAが急成長した背後には、リスクを取ってそれらの新興企業を応援する投資家がいたからです。そして、イノベーション(技術革新)が進むためにはリスクを負って、新しいことにチャレンジする人が必要です。筆者は基本的に株の短期売買は決してお勧めしたくはありません。しかし、日本や世界の将来を考えながら、「このような企業を応援したい、この経営者にかけてみたい、たとえ失敗しても悔いはない」と思えるような株式投資なら、それこそまさに、私たちの信仰の姿勢と合致するのではないでしょうか。

ダビデの生涯は、まさにリスクを積極的に背負ってゆくものでした。石投げによって大巨人ゴリヤテを倒し、、、、、、

(この後、ダビデの生涯に信仰者として学ぶべき生き方を見ていきます。2021年3月28日号掲載記事